地下水飲料化システムをご採用いただいた経緯や運用効果について横浜国立大学施設管理ご担当者様にお話をお伺いしました。
◆ 国立大学法人横浜国立大学について
横浜国立大学は、神奈川県内に点在していた各学部が常盤台へ移転(1979年)し、SDGsに先駆けて『人間の生存環境の創造・保全が前提』としたキャンパスは、統合記念事業植栽(1981年)が行われ、現在の緑豊かなキャンパスが誕生しました。常盤台キャンパスの敷地面積455,531㎡、2023年5月1日現在は約10,000人の学生教職員が在籍しています。
横浜国立大学では、検討当時は飲料水として市水を学内に供給しており、150m3の受水槽を有していましたので災害発生時には3日程度の水は確保できていました。ただし、万が一の災害発生時に構内にいる方や周辺住民に対しての避難先としても機能することを志向していました。
災害発生時は、ライフライン復旧まで1週間以上を要するケースもあり、避難先として飲料水の安定確保に努めたいと考えました。
そこで飲料水の安定供給の手段として上水のほか地下水の活用を検討しました。しかし実際に地下水の水質分析をしてみると、私たちが求める水準を満たさない水質であることが判明しました。
それでも万が一の災害発生時に備えて、なんとか地下水の飲料水化を実現したいと考え、設備導入の入札を行いました。それに応札した企業の1社がダイキアクシスでした。
通常検討される塩素剤を主とした浄水処理設備では、導入時に多大なコストがかかるだけでなく、内部構造も複雑化するため運用メンテナンス面での手間も大きな負担になりがちです。
一方、ダイキアクシスの提案はバイオろ過技術を小型化した設備でした。バイオろ過とは、水を綺麗にしてくれる有用なバクテリアの力を借りてろ過をおこなう方法で高度な技術と知見が必要ですが、通常の浄化処理設備と比較して設備導入コストを低減することが可能で私たちの要望に沿ったものでした。
また飲料水としての美味しさにもこだわることや実験で使用するため市水に成分が近づけるために、2種類のろ過膜を活用した高度浄水処理をすることで旨味につながるミネラル成分を残しながら、水質を上げるブレンドの実現を提案いただきました。その他にも、設置後の運用メンテナンスの効率化を実現するIoT化まで提案してくれた点は、水処理分野での高度な技術と知見を持つ企業ならではだと感じました。
2014年の導入から約10年が経ちましたが、大学構内の飲料水の多くに地下水を利用することで、累計すると数千万円規模の上水コストを削減することができました。
大学運営に伴う金銭面でも大きなコスト削減につながり、機器導入の大きなメリットを実感しています。
安定して安全で高品質の飲料水提供手段を確保したことにより、災害時に保土ケ谷エリアの避難者の受け入れ支援先として機能する「飲料水のある避難先」として対応できるようになっています。
また、今回導入した水処理装置は関連する県/市職員の方が研修会を開くほどに「バイオろ過装置のモデルケース」として高い評価をいただいています。
装置はIoT化されており、運用・メンテナンス作業も非常に効率化してくれました。
学内に設置した設備とアプリケーション、そして運用・メンテナンスを依頼しているダイキアクシス側をつなぐことで遠隔監視はもちろん、設備の遠隔操作もタイムリーにおこなっていただける様なシステムが構築されています。
例えば、残留塩素濃度を最適値に調整する際などは、システム制御により遠隔調整してくれるため、定期点検時における訪問対応の必要もなく、運用・メンテナンスにかかる業務の圧倒的な効率化を実現しています。
ダイキアクシスの優れた点は、高い技術力や知見が必要なバイオろ過装置やIoT化による運用・メンテナンスの効率化のほか、担当者がしっかりとサポートしてくれるトータルでのソリューション力にあると思います。
毎月の稼働状況をレポートとして提出しているという細かい対応と、レポートに記載してくれているイレギュラー発生時対応記載は、発注者として高い信頼感につながっています。
飲料水確保の多様化を目的とした導入のみで終わらせず、安定して安全で高品質な飲料水の確保に努めていきたいと考えています。
大学名 | 国立大学法人 横浜国立大学 |
---|---|
事務局所在地 | 横浜市保土ケ谷区常盤台79番1号 |
学生教職員数 | 約10,000人(2023年5月) |
概要 | 教育学部・経済学部・経営学部・理工学部・都市科学部の5学部と、実学的色彩の濃い学部構成をもつ神奈川県にある国立大学 |
WEBサイト |