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加速する海外展開
成長戦略の今
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ダイキアクシス成⻑戦略の大本丸であり、SDGs、またESG投資の視点からも熱い注目を集めている環境機器関連事業の海外展開について、2022年11月、インド・スリランカ工場の落成式を終えた経営陣にロングインタビューを行いました。海外展開の背景から現状の課題、今後の展望までさまざまな角度から切り込み、全3編でお伝えします。

 

3. 今後の展望、ダイキアクシスが描く未来

 

今後、どこにどう注力していくかなど、ビジョンをお聞かせください。

髙岡︓2025年に向けては、まずインドを成功させることが最大のミッションです。もう一つは、インドネシア工場の稼働率を上げることです。インドに自社工場ができたことによってインドへの出荷がなくなりますので、東南アジアの基幹工場として、インドネシア国内の需要と海外輸出で独り立ちできる会社にしていくことが目下の課題です。
スリランカは組立工場ですので、今の安定性を持った成長をしてくれればいいと考えています。そこにはインドネシア工場からの製品が出ていますので、やはりインドネシアが成長してくれることが重要です。

大亀︓われわれが今、現地ネットワークを構築している国々では、浄化槽を売りたいという環境意識の高い方々が、製品を販売するだけではなく、現地生産を踏まえて事業に賛同してくれています。その思いに応えるためにも、まずは今展開している国々、中でも現地法人を設立した生産拠点のある4カ国でしっかりと事業を確立し、利益を出していくことが一番の目標だと考えています。その中でも、ポテンシャルの高いインドという国で成功させることが、直面している課題だと思っています。

 

スリランカ工場

 

現在ケニアに代理店があるアフリカにも
製造拠点を持つ計画はありますか。

髙岡︓アフリカは遠隔地のため、どうしても輸送費がかかります。いずれは製造拠点を持たないと事業展開できないだろうと認識しています。計画では真っさらの状態ですが、いずれは持ちたいとは思っています。

大亀︓私自身の海外事業にかける思いの原点はザンビア、アフリカにあるので、もちろんアフリカに製造拠点を持っていきたいという思いはありますし、そこからアフリカ全土に浄化槽が行き渡るようなビジネスができたら言うことはないと思っています。そういったビジョンも持ちながら検討していきたいと思います。

 

 

メンテナンスなど、ストックビジネスについてはどう考えますか。

髙岡︓浄化槽は本来、製造、販売からメンテナンスまでが1つのシステムなので、ストックビジネスが欠かせないことは分かっていますが、そのためには法的整備が命題です。先ほど専務が触れたように、メンテナンスまで含めた法的な規制がなくては、ストックビジネスは成り立たないと思っています。

 

再エネや地下水飲料化など、他事業の海外進出はどうでしょうか。

大亀︓チャンスがあればという感じです。個人的には、環境機器も住宅機器も、事業部門としては十分やれると思いますので、将来的にはさらにグローバルな企業として成長できる可能性はあると考えています。

 

アジア、インド、アフリカに続いて、今後の海外進出の展望は︖

髙岡︓戦略的には海外事業という名前を付けているので、仕事があればどこにでも行きます。僕の時代には行けないかもしれませんけれども、専務の時代には南米ぐらいまで行っているかもしれません。

大亀︓超長期的には他の国への進出も考えたいとは思っています。これも長期的な視点ですが、今展開している国々でゆくゆくは現地の人を中心に現地法人をまわせるような組織になるのが理想だと思っています。日本発の企業として日本的な組織文化は守りながら、グローバル企業として運営していけるような事業展開を目指したいと思っています。

 

 

 

 

おわりに.
「PROTECT×CHANGE」実現のために

 

最後に、自身の目標と社員へのメッセージをお願いします。

髙岡︓自身の目標としては、私がいる間に海外事業を安定路線まで持っていけるようにしたいと思っています。そのためには、既存の社員に手を挙げてでも海外に行ってきてほしいと思います。それが私の考えるCHANGEです。海外に興味を持って、一歩も二歩も前に進んでほしい。そこが変わっていくと会社も大きく変わると思っています。

大亀︓PROTECTすべきものとして、日本や愛媛、創業の思いといったものをしっかりと守りながら、海外で浄化槽ビジネスを確立していきたいと思っています。海外は規制がなくて苦心していますが、逆にいうと、その国に合わせてもっと良くするためには何でもできるということです。
技術も人材も組織も、多様性、柔軟性を持ったCHANGEをしていきたいと思います。日本人は世界に誇れる精神性を持っています。社員には、「世界一こそ日本一」という気概を持って、世界に挑んでもらいたいと思います。

 

 

 

大亀 裕貴
専務取締役CIO・CGO
(経営戦略・海外事業戦略担当)

愛媛県松山市出身。高校2年生の時に訪れたザンビアでの暮らしに衝撃を受け、以来、環境や社会問題に関心をもち、アフリカ、インド、東南アジア諸国など45カ国を歴訪する。大学卒業後、株式会社日立製作所を経て2018年ダイキアクシス入社。
常務執行役員兼社長室長を経て、現職。途上国への思いは尽きないが、「たまにはヨーロッパにも行ける会社がいいな」と本音を覗かせる。

 

 


 

 

髙岡 慎也
取締役常務執行役員
(環境機器事業本部長)

愛媛県久万高原町出身。1989年、前身であるダイキ株式会社に入社。ダイキアクシス設立後、2005年から6年間、中国・大連大器環保工程有限公司に赴任。帰国後は環境機器関連事業の各部署を管轄し、2019年から海外事業を担当。現職、取締役常務執行役員兼環境機器事業本部長。「海外事業はブレーンに恵まれ、非常に楽しくやらせてもらっています」。

 


 

 

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