大亀︓インドは、政府をはじめ受け入れ側の組織もしっかりしていて、先日の工場落成式の時に政府関係者とお話ししていても、浄化槽への理解はかなり進んできているなと感じます。いい意味で、政府も民間もトップダウンの組織なので、上からの強い指示があればすぐに反映される面があります。
一方、インドネシアは動きが遅く、例えば中国系や韓国系のメーカーがわれわれの半値ぐらいで浄化槽として売っている製品があるのですが、政府もそれでいいじゃないかと認識してしまっているところがあります。動きのスピードも含めて国による差は大きいです。
髙岡︓誰に対する知名度かにもよりますが、業界内での知名度は、インドではどんどん上がっています。他の国々ではまだそれほど認知されていないかもしれません。そもそも浄化槽というものがない国に進出しているので、浄化槽自体が知られていないのです。一般の人への知名度に関しては、ほぼありません。
大亀︓その辺りはやはり環境教育であるとか、一般の方たちにも水環境の大切さを伝えていくことができれば会社としての知名度も上がりますし、水インフラへの理解が進めば浄化槽も売れてくるかとは思うので、何か仕掛けていきたいというイメージはあります。
大亀︓それはあるとは思います。めちゃくちゃ汚いので。
髙岡︓でもあれが普通なのでしょう。それが当たり前で問題を感じていないのだと思います。瀬戸内海も昔はすごく汚くて、それでは駄目だということになって水質汚濁防止法ができてきれいになりました。今はちょっときれいになり過ぎて困っているのですが。
大亀︓栄養不足で魚がすめないとか海苔が採れないとか。
髙岡︓それでも公害が発生したり健康被害が出たりして、それでは駄目だと気付いたから今があるのですが、そこに住んでいる人はそれが当たり前なので、「何で自分たちがお金を出してきれいにしないといけないの︖」という感じはあると思います。
バングラディシュ(ダッカ) 2019 年
ケニア(ナイロビ) 2020 年
パキスタン(カラチ) 2020 年
インド(ハリヤナ州) 2022 年
髙岡︓たくさんあります。ただし、それは浄化槽ではありません。「浄化槽に似たもの」と呼んでいますが、排水を処理する装置自体はあるのです。ただし、浄化槽としての機能は十分に発揮できていません。安い悪いが当たり前の世界なのです。
そこで困るのは、ダイキアクシスの製品はクオリティは高いけれども、値段が高いから買わない、となると状況は改善しません。そこにはやはり政府の力が必要で、われわれもロビー活動を相当しています。そういう意味では、彼ら全てが競合です。法律がないので。
髙岡︓国が認定した製品でなくては納入できない、というのが私たちの最終的な目標です。そこにジャパン・クオリティを求めるということです。そうなれば、彼らも製品のクオリティを上げざるを得なくなるので、価格も上がり、正当な競争ができます。
大亀︓一番の理想は、インドやインドネシアの国の法律で、ダイキアクシスの浄化槽を入れなくてはならないという規制をつくってもらうことです。日本の浄化槽法では国交省が浄化槽の設計基準まで決めています。そういった法律を各国で導入してもらいたいと考えています。
髙岡︓それはむしろありがたい話です。インドは13億もの人口規模がある中で、うち1社がいくら頑張っても仕方がないことなので、いいものを作ってくれる日本のメーカーが進出し、広報活動なども一緒にやってくれれば、その分、普及もしやすくなると思います。反対に、現地のメーカーが認定を取ることのほうが大問題です。
大亀︓日本は浄化槽法で設計基準が決まっているため、技術的には自社単独での特許が取れなくなっています。そこは一つの課題でもあり、そのため中国や韓国のメーカーがタンクだけつくって納めても、浄化槽だといえてしまうのです。
日本の浄化槽法はメンテナンスについても細かく法律で決まっていますが、われわれが今展開している国々ではモニタリングの機能なども全くないので、設置後に機能しない劣悪な商品でも浄化槽として納められてしまう状況があります。その辺りの規制はかなり重要だと思っているので、今後も根気強く働きかけていきたいと考えています。