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サステイナビリティに木造で貢献!
住機セグメントの 「木構造」ソリューション
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「環境を守る。未来を変える。」ミッション達成に向け、サステイナビリティを軸とした企業経営を実践するダイキアクシスグループ。住宅機器関連事業(以下、住機)では環境配慮型商材を中心とした新商材の強化等に取り組んでいます。今回は、新たにスタートした「木構造事業」に注目。卸売業から戦略を持った商社へと機能拡充を図る、住機セグメントの挑戦を紹介します。

 

 

中大規模施設等の木造化をトータルサポート

 

住機セグメントの新たな環境ソリューション、木構造事業とは

聞き手(以下Q):はじめに木構造事業の概要から教えてください。

阿部:中大規模施設などさまざまな非住宅の建築物に対し、耐震・耐火に優れた木構造を提案する事業です。従来は鉄骨・RC造で建てられていた建物に地域の木材を利用することができ、地場産材の活用事例としても注目されています。

 

Q:そもそも木構造とは何ですか。木造とはどう違うのでしょうか。

鈴木:鉄骨造、RC造に対し、柱や梁などメインフレーム(構造体)が木材でできているものを木造あるいは木構造といいます。木造というと住宅のイメージが強いことから、中大規模木造かつ非住宅の建築物に使用する木造の構造体を木構造と呼んでいます。

Q:具体的にはどのような建物に使用されますか。実績があれば教えてください。

鈴木:昨年竣工した案件では、保育園(幼稚園)や造園会社のオフィスなどがあります。比較的大規模な建物では小学校の校舎や屋内運動場(体育館)なども手掛けています。内外装だけではなく、表からは見えない構造体に地元木材を活用しています。

 

 

設計から調達、施工サポートまで、新時代の商社へ

Q:その木構造をどのような形で販売しているのですか。

鈴木:地元の木材を利用してプレカットした部材をキットのような形で販売しています。耐震性・耐火性に優れ、軸組工法と一般接合金物を用いて地元のゼネコン・工務店で施工することができます。ダイキアクシスでは構造設計から施工のサポートまで行います。

 

Q:販売するだけではなく、構造設計から提案するのですか。

阿部:もともとは環境配慮型商材の一つとして卸販売で扱っていましたが、非住宅の木造化のニーズが高まっていることから、東京営業部を拠点に鈴木課長以下、木構造に精通した専門性の高いスタッフをそろえ、メーカーとして構造設計などの技術面からトータルでサポートできる体制を整えました。

鈴木:仕入れに関しては建設地近隣エリアを中心とした協力業者さんと連携して対応します。47都道府県すべてに提携協力業者さんがおり、地元で材料を調達し、地元の木材を地元で加工し、木構造体というひとまとまりの商品にして、ダイキアクシスが窓口となって地元のゼネコン・工務店さんにワンストップで販売していきます。

阿部:特定の商材や独自の構法だけではなく、木造建築のさまざまな提案ができるフレキシブルなメーカーとして対応していきたいと考えています。体制も整い、これから販売を強化していくスタート地点に立ったところです。

 

 

認知度を上げるための一つの武器として

 

木構造事業、市場開拓の現状と課題

Q:前回の社長対談でも「住機をこれから面白くしていきたい」という発言がありました。住機セグメントの成長戦略の中で、木構造事業をどのように位置付けていますか。

阿部:付加価値の高い木造建築を販売することで住機セグメントの利益率向上につながると同時に、市場開拓においてもメインになる事業だと考えています。これは東京営業部全体の課題でもあるのですが、われわれの営業先である大手設計事務所にはすでに各メーカーが直接営業しており、代理店として後から営業をかけたところでその壁はかなり厚い。ところが、こと公共建築の木造化においては、設計事務所自体もまだ実績がないため「ダイキアクシスさんのような動きをしてくれる会社はありがたい」と言っていただけるのです。

 

鈴木:実績がないイコールどう進めていいか困っている設計事務所さんも多いと思います。そこはまさに市場開拓で、木造で話を聞いていただき、そこから当社取扱関連商材に展開していく営業のきっかけづくりになっているところもメリットとして感じています。

Q:逆に課題に感じていることはありますか。

鈴木:やはり中四国でのダイキアクシスの認知度と、東京エリアを中心とした東日本での認知度にかなり大きな差があることです。そもそも「ダイキアクシスは水処理のメーカーさんだよね」というのが東京での圧倒的な認知で、特需商材はもちろん住宅機器を扱っていることすらあまり知られていません。まずその認知を広げていくことが最大の使命だと思っています。その武器の一つとして木構造が果たす役割は大きいと思っています。

 

ネットワークを活用し、全国へ展開

Q:市場開拓のために具体的にはどんな取り組みをしていますか。

阿部:環境機器事業でお付き合いのある設計事務所をはじめ、新規のお客さまも含めて、木造で建てる計画のある案件に関しては、物件ごとにどんどん飛び込み営業をしています。

鈴木:こういった事業では過去にどんな実績があるかを聞かれることが多いため、着実に実績を積んでいくことが地道ではありますが必要な努力だと思います。あとは、私も含めて東京営業部のメンバーはそれぞれ前職で木構造メーカーにいた時の木構造業界ネットワークがあり、ダイキアクシスとしてもかなり横に広いネットワークがあるので、それをどう連携して活用できるかが今後のポイントだと思っています。

 

Q:木構造事業の今後の目標を教えてください。

阿部:今はメインである木構造事業が順調にスタートを切れていますので、鈴木課長のもと着実なものにしていってもらいたいと思います。東京営業部としては特需商材の実績を上げつつ、さまざまな情報発信の場である東京において新たな商材を積極的に開拓していきたいと考えています。

鈴木:木構造は建物の基本となるものなので、タイル工事や屋根工事など、特需商材以外の住機セグメントとの親和性も含めてマッチングし、最終的には一つの案件に対してダイキアクシスが提供しているものすべてがトータルで販売できること、それが目標です。

 

 

環境企業としての企業価値向上に貢献

 

「PROTECT×CHANGE」の実現に向けて

Q:最後に木構造事業を通して、それぞれが目指すアクションを教えてください。

阿部:サステイナビリティへの取り組みとして、グループ全体では地球環境を守るという大きなミッションがありますが、当統括部としてはそこに脱炭素で貢献したいと考えています。木材や木造建築は樹木が吸収した二酸化炭素をそのまま固定化できます。また木材を使うことで森林の資材循環にもつながります。
将来的には、ダイキアクシスが事業を展開する中で排出した二酸化炭素と、木構造事業の実績による二酸化炭素の固定化がイコールになり、カーボンニュートラルを実現することが目標です。それによってパーパスの実現と、環境に配慮した企業としての企業価値向上に寄与できればと考えています。

鈴木:きれいな水があるからこそ木が育ち、木は二酸化炭素を吸収しながら成長します。成長した木材は、木造の建物へ変わることができ、二酸化炭素を固定化できます。その大きな循環の中で、水環境を守る事業と共に、木構造事業を通してサステイナブルな環境・社会・会社に貢献していきたいと思っています。

 

 

 

 

阿部 陽一郎
住宅機器事業統括本部 市場開発統括部⻑ 兼 東京営業部⻑

愛媛県出身。1996年ダイキ株式会社に入社、住宅機器事業に従事する。2005年ダイキアクシス設立後、住宅機器事業本部、特需事業部にて特需物件の中四国への展開に従事。特需事業統括本部本社営業統括部長、同東京営業部長を経て、2024年より市場開発統括部新設に伴い現職。
(2024年2月現在)

 

 

 


 

 

鈴木 友章
住宅機器事業統括本部 市場開発統括部 東京営業課⻑

東京都出身。大学卒業後、独立系木構造メーカーを経て、2022年5月ダイキアクシス入社。住宅機器事業本部特需事業部東京営業部にて特需物件の全国展開に携わる。前職の経験を生かし、木構造のスペシャリストとして活躍中。2024年より現職。木造・木質コーディネーター。
(2024年2月現在)