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[後編]ダイキアクシスグループ
社員からの質問 ~Q&A~
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特別企画トップインタビュー後半は、社内アンケートをもとに、グループ社員からの質問に大亀裕社長・裕貴専務が一問一答で答えます。社長交代のねらいから、気になる親子関係、今後のダイキアクシスグループの方向性まで、社員から寄せられた公私にわたる「12の質問」に、文書でではなく、インタビューで全回答された生の声をお伝えします。

 

社員からの質問、全部答えます!

 

Q1.社長への質問「社長交代のタイミングはいつから考えていたか」

大亀裕社長:社長交代自体は、少なくとも彼(裕貴専務)が入った時には考えていました。タイミングはずっと考えてきた中でさまざまな情勢を見て判断しました。今、彼を除く役員はほぼ私と同年代です。これから内的にも変わる方向に向かい、外的にも相当変化が激しくなっていく中で60代ってまだ若いとは言えギリギリの歳です。加えて今度はZ世代が入ってくると、そこにはもう太刀打ちできないかもしれない。さらにIT、AIと考えると、次の70周年では少し遅いので65周年を機に決断しました。

 

 

 

Q2.専務への質問「社長交代をいつ伝えられたか、それを聞いた時どう感じたか」

大亀裕貴専務:直接聞いたのは今年のお盆です。発表のひと月前ですね。僕自身も、入社する時からその自覚は持っていましたし、入社の翌年に役員になった時、また昨年1月に専務になった時に、自覚的にはどんどん強くなっていったという感じです。ですので、社長から直接聞いた時は、率直に「いよいよだな」と思いました。

 

Q3.社長への質問「経営に対する意見の違いや対立はあるか」

大亀裕社長:私はないと思っていますが、どうですか?


大亀裕貴専務:経営に対する意見の違いはありません。今まで新しいことをやりたいと言って進めてきた中で、方向性を正すというか、「こっちのほうがいいんじゃない?」という話はありましたけど、完全に提案を取り下げられるような反対はなかったですし、役員皆さんそうですが、対立はないと思います。

大亀裕社長:役員でいえば、うちの取締役会はすごいと思っているんです。他社の役員会も多少見てきましたが、大事な決議事項は前もって根回しするなどして、ある部分忖度(そんたく)が入ることがあります。それをうちはやっていない。前任の社外取締役からも、退任される際に「このまま取締役会の進め方を続けていったらいいよ」と言っていただきました。新社長にも今の雰囲気のまま引き継いでもらいたいと思っています。

 

Q4.社長への質問「裕貴専務にはどんな社長になってほしいか」

大亀裕社長:われわれの経験値を上回る、若くて柔らかい知恵に期待しています。環境機器関連事業(以下、環機)、住宅機器関連事業(以下、住機)とセグメントを分けていますけれども、どちらも建設業界の一部で、長年の経験値からなかなか抜け出せない業界です。浄化槽ひとつ取ってみても、よく知っているからこそ、これは規制があるからとか、行政はこう思っているからとか、どうしても思ってしまう。
ところが、水行政も変わってきていて、先日出資したスタートアップ企業の経営者などは、われわれが言っちゃいけない、ネガティブだと思っていることを、ポジティブの見解で話すんです。言ってもいいんだ、と非常に新鮮でした。ということは、知り過ぎている経験値が違うビジネスを生むことはできないということです。浄化槽でもインドでは日本とは違う使い方をしてもらっています。考え方を変えれば、国内でも別の使い道があるかもしれない。そういった既成概念にとらわれない柔軟な発想が求められると思います。

 

 

 

Q5.専務への質問「新社長就任後、特に力を入れていきたいことは」

大亀裕貴専務:今社長が言った業界の難しさ、課題はかなり大きいと思っています。そこを打破できるような、インフラを支える縁の下の力持ちの企業がもっと認められるような業界にしていきたいと思っています。
会社としては業界や会社を盛り上げられるようPR活動を含めてやっていきたいし、それが人材確保にもつながればと思います。また愛媛発の地方企業ではありますが、グローバルにも展開しているので、世界で名前を知ってもらえる企業にしたい。事業的には、まだまだアナログな業界・会社ですが、ITを使った事業展開は絶対必要になってくるので、その辺りを本腰入れてやっていかなくてはと考えています。

 

Q6.社長への質問「父親の立場から見て、裕貴専務の良いところ、まだまだと感じるところは」

大亀裕社長:自分がまだまだな人間なので、人のことをとやかく言える立場では(笑)。彼のいいところは、やはり高校時代から海外に行かせたので、少なくとも語学の心配はないだろうし、どこでも行けますよね。行動力もある。MBA(経営学修士)を取ったのも、今さら勉強して頭でっかちになるなと言ったのですが、ちょうどコロナになって絶妙のタイミングで。ハードな2年間だったようですが、やり遂げるところもあります。

 

 

 

Q7.専務への質問「社長に対して特に尊敬するところ、コレは父を超えていると自負するところは」

大亀裕貴専務:まずダイキアクシスをホームセンターから切り離して設立したのはすごい意思決定だなと思っています。あとは基本的に任せる経営者だと思っています。父親としても、これまで僕が行きたいところ、やりたいことに対しては全部OKして自由にさせてもらいました。社長としても基本的には現場に任せて、いわゆるワンマンのトップダウンの社長ではなく、どちらかというと静観しながら進めていくタイプだと思っています。
その度量の広さというか、任せ切るところを尊敬します。結構ストライクゾーンというか方向性の幅は広くて、何かやることに対してハナからNGを出すことはないのですが、大きく外れそうな時の方向性の正し方、そこに一言の重みを感じます。
僕が父を超えているところは──。

大亀裕社長:ゴルフの飛距離です(笑)。

 

 

 

Q8.専務への質問「今注目している企業と、その理由は」

大亀裕貴専務:企業というよりは経営者を見ています。日本では、孫正義さん、柳井正さん、豊田章男さんです。孫さんは、IT業界において時代に先駆けて事業展開していますし、投資家としてもさまざまなチャレンジをされているところに注目しています。柳井さんは、「正しい儲ける姿」を基本的な経営方針として使命につながる約束を果たした上でファーストリテイリングを大きくされた、その経営スタイルは非常に参考になると思っています。トヨタは世界でもトップ企業の一つですが、100年に一度の大変革期といわれる自動車業界において、今後EV転換、自動化、IoT化などにどう対応していくのか、注目しているところです。
海外ではイーロン・マスクです。彼の実行力と努力家であるところ、また評伝『イーロン・マスク』の中で「貧しくてもハッピーであることはリスクを取る際に大きな助けになった」という話があり感銘を受けました。火星に移住するとか人類を救うとか、いわゆるビッグマウス的なことを言う人ですが、実際にテスラやスペースXを立ち上げて事業として成功していますし、その背景には「人類の未来に最も貢献できる事業を考える」という彼の考え方があります。その辺りにも共感し、注目しています。

 

 

 

どう変わる、ダイキアクシスグループ

 

Q9.共通質問「グループ全体の今後の見通し、各セグメントの目指すべき姿は」

大亀裕社長:やはりボリュームとしては海外事業が全体を牽引していくことは否めないと思います。ただ、住宅系はいろいろ課題を抱えながらも、だからこそ伸びしろがある。これは、それこそ知恵でしょう。力技ではいかない。環機と住機の課題は似たところがあるので、逆にやり方によっては市場を寡占化できる可能性は必ずあると思っています。再エネはまさに時代ですし、将来的に環機の海外事業が別事業も取り込んでいくと考えると、少なくとも地下水飲料化事業の需要は間違いなくあるし、何でも付け加えることができると思います。

大亀裕貴専務:僕も住機は面白く考えたいと思っています。創業当時の祖業でかなり愚直な組織ですが、何か面白い発想ができれば、いい方向に変わるかなと。今はまだまだイメージしているだけですが、いろいろと仕掛けていきます。

 

 

Q10.共通質問「IT推進について、その体制づくりや具体的なビジョンは」

大亀裕貴専務:DXの一環としてIT推進を基本方針に掲げ、今期は「Slack」の全社導入に取り組んできました。メールとは違った新たなコミュニケーションツールを活用することで、フラットな環境やコミュニケーションが活発な環境をつくり、部門を超えた連携や業務効率化を加速していきたいと思っています。今後の課題は、ITを使える人を増やすこと。まずIT人材を増やす、そしてITを事業に組み込む、というステップかなと思っています。

 

Q11.共通質問「グループシナジーの最大化に向けて、グループ内での連携や子会社に期待することは」

大亀裕社長:少なくとも海外に対しては情報発信がまだまだ全然できていないので、定期的に情報発信することで多少なりとも連携は深まっていくと思います。子会社については、M&Aをして、その後合併したりして、立ち位置が分からないまま来ているかもしれません。そういうところは折に触れてやはり情報発信をしてあげたほうがいい。

大亀裕貴専務:そこは課題感として感じていた部分はあったので、ここ数年グループ内の理念浸透の施策をはじめ、社内報の発行や先ほどのコミュニケーションツールの導入などに取り組んできました。組織が大きい分、皆さんに届き切るのには時間もかかるし、難しい部分もあると思いますが、今後も特に社内は力を入れながらやりたいと思っています。

 

 

 

Q12.最後の質問「今後の方向性について、大きく変えること、必ず守ることは」

大亀裕社長:大きく変えることは、生産性を追求していくこと。そうしなければ海外企業には太刀打ちできません。そのためにはやはりIT推進が不可欠だろうと思います。
必ず守ることは、日本企業の良さである「誠で接する」というか、うまく言えませんが、そういった企業文化は守っていきたいと思っています。今後どんどん社数も増え、新しい人材も入ってくる中で、そこは必ず守りたいところです。

大亀裕貴専務:大きく変えるところは、働き方もそうですし、古い体質などいろいろありますけれども、「やり方」というものを変えなくてはならないと思っています。ITを使って生産性を上げることもそうですし、若い世代が増えてくる中で、いわゆる昭和世代のように「背中を見てついてこい」というやり方ではなく、本人が納得して取り組めるよう、説明責任を果たして丁寧にやっていく必要もあると思っています。
必ず守ることは、実直で真面目な企業文化です。グローバル企業として成長する中でも、日本の良さ、企業文化をしっかり守りつつやっていきたいと思っています。

 

以上、社長交代にあたって大亀裕社長・裕貴専務の思いを前・後編でお伝えしました。2024年からスタートする新体制にご期待ください!

 

 

 

大亀 裕
代表取締役社長CEO(2024年1月より代表取締役会長就任予定)

愛媛県松山市出身。松下電器産業株式会社勤務を経て1987年ダイキ株式会社(父・孝裕氏が1958年に創業)に入社。経営企画、取締役、常務取締役を経て2004年代表取締役専務に就任。2005年、ホームセンター事業を分離し、現在の主力3事業を分割継承する形で株式会社ダイキアクシスを設立。2013年には東京証券取引所市場第一部への上場に向け、海外進出を本格化。2016年からは「PROTECT×CHANGE」をコーポレートスローガンに掲げ、「水」と「環境」を軸(AXIS)とした事業展開を通じ、環境と暮らしに貢献する企業グループを目指す。
(2023年12月現在)

 

 


 

大⻲ 裕貴
専務取締役CIO CGO(2024年1月より代表取締役社長就任予定)

愛媛県松山市出身。スイスでの高校時代、ボランティアトリップで訪れたアフリカ・ザンビアの暮らしに衝撃を受け、以来、途上国を中心に53カ国を訪問。環境問題、社会貢献への関心を深める。大学卒業後、株式会社日立製作所を経て2018年ダイキアクシス入社。グローバル事業本部、常務執行役員兼社長室長を経て2022年より現職。2023年にはグループ初の統合報告書発行に合わせ、理念体系を刷新。「世界の環境課題を技術とアイデアで解決し、世界の人々の生活を支える」をパーパスに掲げ、サステイナビリティを軸とした企業経営の実践を目指す。
2023年早稲田大学大学院経営管理研究科修士課程(MBA)修了
(2023年12月現在)