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[ 社内対談 ]
企業価値を高める広報戦略とは
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今回からスタートした新企画「社内対談」では、「PROTECT×CHANGE」の実現に向けた各部門の取り組みを対談形式でお伝えします。社内だからこそ深掘りできるダイキアクシスグループの今。今回は奥田社外取締役を迎え、経営企画部長と「企業価値を高める広報戦略」について語ります。

 

 

広報戦略の現状と課題

 

情報を集める、そして発信する

近藤:前回OFFICER INTERVIEWでは奥田社外取締役から広報の情報発信について提言いただきました。本日はこれを受けての対談です。よろしくお願いします。

奥田:近藤さんは経営企画の方ですが、広報も担当されているんですか。

近藤:経営企画では主に投資家向けのIR情報を中心に扱ってきました。今後は、株主、社員、取引先、顧客など幅広いステークホルダーに向けたPR活動にも力を入れていきたいと考えています。私自身、財務出身で数字を扱うことは得意分野なんですが、広報・PRは経験が浅いため、今日はさまざまな角度からアドバイスいただければと思います。

奥田:特に課題に感じていることはありますか。

近藤:一番は情報集めです。当社はこれまで広報部門がなく、情報を集める機能がありませんでした。また各事業部の独立性が強く、会社として情報がまとまりにくい状況があったと思います。財務にいた頃に読んだ本で「経理部とは情報製造業である」という言葉に強く共感しました。これは管理部門全体にいえることだと思っていて、社内のいろいろなところから情報を仕入れて、それを組み合わせたりすることで加工し、付加価値を生み出して社外に発信していきたいと考えています。それを実現するために、経営企画が社内の各部門のハブとなって情報を集める土壌づくりに取り組んでいるところです。

 

 

何を伝えるか、広報戦略とパーパス

奥田:そのお話にも通じるかと思いますが、今はダイキアクシスという会社を一言で自己紹介できていないように思います。例えば私の場合、最初に浄化槽の会合で大亀裕社長と知り合って声を掛けていただいたので、浄化槽の会社だと思っていました。でも調べてみたら、浄化槽の売上は半分で、残り半分の多くは住宅機器関連(以下、住機)が占めています。それなのに今はもったいないことに半分を占める住機のPRが弱いと感じています。

近藤:奥田さんには以前から「水の会社としての打ち出しだけがやたらと強い」とご指摘いただいていました。住機も、創業当時の「タイルと衛生陶器の店」から始まっているので「水」関連ではあるんですが、現在は幅を広げて空調設備や内外装材など暮らしに関わるさまざまな商材を扱っています。

奥田:いいものを扱っていますよね。住機の方のお話を聞くと、どの商材にも全て理由があって、商品に対する愛着や、それを使う人たちへの思いもあるんです。それがお客さんの共感につながるはず。ところが今はいろいろな会社の商品パンフレットをガチャンとファイルに綴じただけのようになっていて、大切な思いや意思を感じ取れなくなっているんです。それがもったいない。

近藤:環境に特化した商材などはもっとアピールしていきたいと思っています。例えば今注目しているのが、木材を使って中・高層建築を建てる商材です。住機は卸販売が中心ですが、その商材については今後自社でメーカーとして取り組もうとしています。

奥田:卸販売においても「目利き」のような部分をもっとアピールしてはどうですか。その商品を選んだ理由がきちんとパーパスに結び付いて訴求できれば、会社としての人格が見えてくるんじゃないかと思います。

近藤:どの事業もパーパスに結び付けて伝えていくことが大事ですね。

 

 

光を当てる広報

 

どんな小さなことも、丁寧に伝える

近藤:土壌づくりとして取り組んでいることの一つが、社員の情報に対する意識改革です。自分たちの情報を外に出すことが企業価値の向上につながるんだということをもっと知ってもらいたいんです。この「AXIS Action!」でも何度か社員に登場してもらっていて、今後も今回のような形で登場してもらいたいと考えています。

奥田:広報を通じて自分たちの取り組みに自信を持ってもらうことも大事ですね。私は以前、某メーカーのマーケティング事業部にいたことがあるんですが、その時の上司が常にそれを意識して、何かちょっとしたことでも社内イントラなどで紹介していました。大きい頑張りはもちろんですが、社員一人ひとりの小さな頑張りにも光を当てるということですね。社内イントラや社内報など、何らかの形で全社員に情報共有していってはどうですか。

近藤:実は今年から社内報を作り始めました。社長の名字にちなんで『かめさん通信』と名付けたんですが、研修内容を紹介したり、「私のPROTECT×CHANGE」という表彰制度で優秀賞を取った人たちをクローズアップしたり、コラムとして2024年より社長に就任予定の大亀裕貴専務の連載もあります。

奥田:9月に電撃発表がありましたね。それについてはまた詳しく報じてほしいと思います。『かめさん通信』はぜひ取締役にも配ってください。月刊ですか?

近藤:毎月出しています。子会社をクローズアップした記事なども載せています。

奥田:社内で起こっていることを社内に伝えることが社内報の大事な役割ですが、私がお手伝いしている上下水道のコンサルタント会社では、社内報を投資家の方にも配布しています。社員さんに光を当てつつ、社内での取り組みを投資家の方にもきちんと伝えられて、両方の役割を果たせていますよ。

近藤:それはいいですね!そういった形は現在の社内報を発展させていきたい方向性の一つでもあって、「AXIS Action!」を活用して発信していきたいと思います。

 

 

対外発信とメディア対応

 

活動の中に、常にストーリーをもつ

近藤:一方、プレスリリースに出す情報はどんなことが基準になるのでしょうか。

奥田:私が環境新聞の記者時代には、結構細々したことまでリリースを送ってくる会社がありました。「何々営業部では海岸の清掃活動を社員で一緒にやりました」とか、そういうのもどんどん投げ込みがあって。

近藤:それはウエルカムなんですか。

奥田:ウエルカムです。記者は紙面をどう埋めるかを常に考えているので「あと30行ぐらい足りない!」という時に、これを埋め草記事といいますが、気には掛けてくれますよね。

近藤:逆に埋め草記事とトップ記事の違いは何ですか。

奥田:私の場合、単なるガジェットの情報だけでは優先順位は下になります。「これによって社会をこんなふうに変えるんだ」といった開発者の思いなどが見えてくると大きく取り上げたくなります。やはり自分たちの取り組みが会社のパーパスや中期経営計画とどのようにつながっているのか、常にストーリーに乗せていくことが大事だと思います。

 

 

マネジメントする広報へ

 

「PROTECT×CHANGE」の実現に向けて

近藤:今後、広報として目指すべきことは何でしょうか。

奥田:情報発信することも広報の大事な役割ですが、それは1つの機能でしかありません。本来広報は、パーパスに基づいてブランディングしていく上で、この情報をもっと会社として発信するべきだから、ここの活動はどうなっているのか、これが足りないんじゃないか、といったことまで言える部署だと思うんです。決して受け身ではない広報です。そうなってほしいと思いますし、そうあるべきだと思います。

近藤:広報から情報をマネジメントするということですね。

奥田:コミュニケーション全般といってもいいかもしれません。広報って「広く報せる」と書きますが、もとの意味はPRと同じ「パブリック・リレーションズ」なので、あらゆる活動を通じてステークホルダーとリレーション(=より良い関係)をつくっていきましょうということを、ぜひ広報部隊から投げ掛けつつ、リレーションづくりをサポートしつつ、広報部隊自らリレーションづくりにも取り組んでほしいと思います。

近藤:この記事もそのきっかけになればと思います。ありがとうございました。

 

 

 

 

奥田 早希子
社外取締役/サステイナビリティ委員会委員

環境問題に特化した専門紙「環境新聞」記者として排水処理分野を担当。フリーライターとして独立後、編集オフィスを設立。現在、一般社団法人Water-n(ウォータン)代表理事。2022年3月より当社社外取締役に就任。水・環境分野に造詣が深いジャーナリストとしての知識・経験および発信力を生かし助言・提言を行っている。趣味は山登りとサッカー観戦。
(2023年9月現在)

 

 


 

 

近藤 真人
経営企画部長

2006年入社。情報企画課を経て財務部経理財務課に配属。以来13年間、財務を担当し、2013年の株式上場準備にも携わる。その後、会計・税務・監査対応・子会社の管理等を歴任。2020年より経営企画課長を経て2022年より現職。趣味は音楽とアウトドア。数字と自然を愛す。
(2023年9月現在)