MEMU

次世代燃料の本命たるか
再エネ事業のトップランナー「D・OiL」
04

持続可能な社会の実現に向けて、ダイキアクシスが精力的にチャレンジしている再生可能エネルギー分野。その先駆けとなったのが「D・OiL」ことバイオディーゼル燃料事業です。今回は、日々D・OiL事業所で奮闘する3名に、脱炭素社会への貢献が期待されるバイオ燃料の開発と普及にかける思いについて座談会形式で語ってもらいました。

まさしく水と油?
なぜバイオディーゼル燃料事業なのか

インタビュアー:今日はバイオディーセル燃料(以下BDF)の熱いお話をお伺いしたいと思います。座談会のテーマは、ダイキアクシスのスローガンである「PROTECT×CHANGE(プロテクト・バイ・チェンジ)」の実現に向けてどんなアクションをしているか、なのですが。

伊藤:「環境を守る。未来を変える。」ということでは事業自体がアクションだよね。

インタビュアー:BDF事業は、ダイキアクシス設立以前のダイキ時代に始まっていますが、きっかけは何だったのでしょうか。

内田:ちょうど事業がスタートする前、平成12年(2000)に「循環型社会形成推進基本法」が整備されて、廃棄物を出さないようにしましょう、資源リサイクルを推進しましょうと法律で定められました。同時に地球温暖化の問題があってCO2削減が叫ばれ始めていて、バイオマスに取り組むのにはものすごくいいタイミングでした。その頃、廃食用油からバイオ燃料を作るという技術もしくは事業を見て、これは将来性があると判断して事業化したのだと思います。

亀井:内田さんは、BDF事業は水処理にも関わりがあるといつも言っていますよね。

内田:今になって思えば、使用済み天ぷら油の回収など、油を排水の系列からできるだけ取り除くということにもつながっているのかなと。もちろん一番は水質汚濁です。私も後から知ったことなのですが、琵琶湖周辺で菜種油のリサイクル運動をされていた「菜の花プロジェクト」の藤井絢子さん。あの方が、実は合併浄化槽の推進運動もされていたんです。生活排水を琵琶湖に流さないようにしましょう、そして油も流さないようにしましょうねと。

インタビュアー:水と油は水質保全の面でもつながっていたんですね。

内田:それが直接の目的ではなかったけれども、結果としてダイキアクシスが取り組む意義は大きかったと思います。

 

思うように出来ない?!
「B5軽油」までの遠い道のり

インタビュアー:そして2002年「D・OiL」供給開始とともにBDF事業がスタートしました。実際にバイオ燃料を開発してみてどうでしたか。

伊藤:新規事業なので自社にノウハウがなくて、ましてや先進のバイオマス燃料なので日本にも手本となるところがない。何もかも分からない中、とにかくトライアンドエラーでやっていました。新入社員で、2カ月前までは学生でしたから。

亀井:僕は事業がスタートした頃まだ入社していなかったので、立ち上げ時の奮闘とても気になります。確か伊藤所長は大学院で化学専攻でしたよね。

伊藤:化学は詳しいのですが、工業的な機械は全然分からなくて。頭から油をかぶったり、まあ大変でした。

内田:基本的に天ぷら油とメタノールと水酸化ナトリウムという触媒でBDFができるというのは周知の事実なんです。皆さん誰でもできる。ビーカーの中で。ただ、これを大型プラントで、しかも車に使える燃料にというと簡単にはいかなかった。

伊藤:装置はある。原料もある。作り方も分かる。それで「はい、動かしましょう」といっても思うように出来ない。見た感じはいいけれども実際に車に入れてみると時間をおくと何か出てくるとか、そういうことを何年にもわたってやっていたので、もう分からなすぎて不安にもならないぐらい。宇宙の中にいるような感じでした。

亀井:私が入社したのが2007年で、そういえばその頃、何も分からないまま毎日ドーナツを作っていました。

伊藤:あれは一時期、天ぷら油の回収量が減って「廃油を延命する装置が出回っているからだ」ということになって、それを検証するためにドーナツを。

亀井:朝から晩まで作っていました(笑)。

 

やってみたらいいことばかり!
BDF事業の社会的意義

インタビュアー:その後、研究開発、そして実用化はどのように進みましたか?

亀井:数々の課題を乗り越えてきたBDF事業ですが、2009年に国の強制規格をクリアした「B5軽油」を開発してからは、軽油代替燃料として安定供給できるようになりました。2012年からはオイルの回収も自社で行っています。

伊藤:廃油回収業者から購入するだけではどうしても安定的に確保できないところがあるので、今は原料の回収もB5軽油の販売も、同じだけの力量でやっています。

内田:事業所回収のほかに、ホームセンターのDCMダイキの店舗などで行っている市民回収も、最近回収量が増えてきました。手前味噌ですが、私たちの事業を通じて環境意識の向上にも貢献しているのではないかと自負しています。

亀井:「あつめる、つくる、つかう」の輪を広げる「油〜モアプロジェクト」の活動もアクションの一つですね。

伊藤:環境フェアや小中学校でやっている「バイオマス教室」もそうだね。

亀井:簡単な実験装置で天ぷら油からバイオ燃料のもとを作ったり、それでカートを動かしてみたり。

伊藤:これは100%のD・OiLを使うので、排ガスのにおいが天ぷら油そのもの。ちょっとおなかが空いてくるぐらい。

亀井:植物由来のクリーンな燃料として使っていただけることもバイオ燃料の魅力です。地球温暖化対策、カーボンニュートラル、エネルギーの地産地消、水質保全など、BDF事業の社会への貢献度はかなり高いと思っています。

 

私たちのアクション!
「あつめる、つくる、つかう」
そして、「ひろげる」

インタビュアー:最後に一人ずつ、未来に向けた「私たちのアクション」を発表していただき締めたいと思います。伊藤所長からお願いします。

伊藤:「環境を守る。未来を変える。」そのために私たちは、「食品のリサイクル」を行っています。何といっても天ぷら油のリサイクル事業なので、バイオマスの中でもリサイクルということを忘れずに仕事に取り組んでいこうと思います。

内田:「環境を守る。未来を変える。」そのために私たちは、「環境価値のアピール」を行っています。天ぷら油からのバイオ燃料づくりは、環境価値という大きな未来の価値を持っています。これを皆さんに伝えて、理解していただいて、その価値どおりに使っていただくことを目指していきたいと思います。

亀井:「環境を守る。未来を変える。」そのために私たちは、「エネルギーの地産地消」を行っています。地域の資源である使用済み天ぷら油をリサイクルして、燃料にして地域に還元していくことで、資源の循環を行い、循環型社会の構築を目指していきます。

 

今回の登場人物

伊藤 正隆
D・OiL営業部松山事業所所長
設立当初からD・OiLの技術開発を担当。分析室の倉庫には秘蔵の油コレクションも。

内田 守光
D・OiL営業部マネジャー
設立前は水処理部門に約20年間所属。販促担当としてのD・OiL愛は海よりも深い。

亀井 昭平
D・OiL営業部
営業部の期待のホープ。伊藤所長、内田マネージャーの下でD・OiLの普及と啓発に取り組む。