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水処理用語集

有機系排水と無機系排水の違いは、こちらのページをご覧ください。

 

あ行
悪臭

人に嫌悪感を与える臭気のこと。汚水処理に伴って発生する下水臭、し尿臭、腐敗臭などは、微生物が炭水化物やタンパク質・脂肪などを分解するときに発生します。

亜硝酸性窒素・硝酸性窒素

アンモニア性窒素が、生物化学的酸化分解したときに生じるものです。処理水中の亜硝酸性窒素や硝酸性窒素が多いほど、浄化効率が高いことを示します。

アンモニア性窒素

汚水中の尿が腐って分解するときに、尿に含まれる尿素やタンパク質が、アンモニア性窒素に変化します。水質汚染の指標として重要で、湖沼、海域などの富栄養化の原因物質の一つでもあります。

維持管理

浄化槽の機能を正常に維持するため、定期的に槽や付属機器の機能の状態を保守点検し、必要に応じて補修することをいいます。法的な維持管理の基準は、厚生労働省令によって定められています。

上澄水

浄化槽の沈殿槽などにおいて、汚水が沈殿分離され、清澄となった上層の水のこと。

エアリフトポンプ

水中に垂直に下された管の中に空気を吹き込み、管内外の液体の比重差をつくって揚水するポンプのことをいいます。通常、活性汚泥法で汚泥を返送するときに用いられます。

塩素イオン

放流水中の塩分の量を示したものです。普通、し尿中には約5,500mg/lの塩素イオンが含まれています。浄化によっても減少しにくい性質を持っています。

塩素消毒

塩素の酸化作用を利用して有害な微生物を死滅させる方法。塩素系消毒剤には、さらし粉、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウムなどがあります。

汚泥処理

汚泥処理設備によって汚泥の減量化・安定を図ることで、方法としては消化、濃縮、脱水、または乾燥焼却することをいいます。

か行
 化学的処理

物理的処理、生物学的処理に対するもので、主な処理には中和、凝集、吸着、脱色、脱臭などがあります。

合併処理浄化槽

し尿と台所、風呂、洗濯、洗面所などの生活雑排水を併せた生活排水を処理する浄化槽。単独処理浄化槽と比べて、はるかに処理能力が高く、BOD除去率90%以上、処理水BOD20mg/l以下と下水道の終末処理場と同等の放流水質に処理できます。一般家庭用の小型のものから、3万人規模の地域集落排水処理施設まであり、近年は、窒素やリンも除去できる機能がついた高度処理型も開発されています。

合併処理浄化槽設置整備事業

市町村が合併処理浄化槽の計画的な整備を図り、し尿と生活雑排水を併せて処理することにより、生活環境の保全および公衆衛生の向上に寄与することを目的とした事業。1987年創設。

逆洗

浄化槽の処理方式の接触ばっ気法では、ろ材へ過剰に付着した生物をブロワのエアを使ってはく離させる操作のことをいいます。

下水道

下水を排除するために設けられる排水施設および、これに接続された処理施設、またこれらの施設を補充するために設けられるポンプ施設などの施設の総体のことをいいます。

嫌気性処理

排水処理において、嫌気性微生物(酸素の存在が無い状態で生育、増殖する微生物)によって汚水中の汚濁物質の還元分解を行う処理法。

原水ポンプ槽

建築物から、汚水を浄化槽に自然流下できない場合(距離、高低差などの理由)、処理施設の前に設置して、汚水をくみ上げるポンプを組み込んだ槽。

好気性処理

酸素が十分ある状態で、好気性微生物(酸素のある状態で生育、増殖する微生物)によって、汚水を酸化させて浄化する方法。活性汚泥法、接触ばっ気法などが代表的な好気性処理です。

高度処理

従来の二次処理(活性汚泥、生物膜)に高度な処理を加えたもの。BODおよび窒素、リンなどを処理するろ過、活性炭吸着、凝集沈殿、脱窒処理なども高度処理に含まれます。

コミニティ・プラント

一般的には、中規模下水処理施設のことをいいます。いわゆる共同浄化槽で、公共下水道以外の汚水処理施設で、処理対象としては住宅団地などが比較的多く、島しょ部に施工される場合もあります。

国庫補助指針

合併処理浄化槽の設置者に対して直接、個人の便益につながらない生活排水の処理に係る部分を市町村が助成している場合に、その市町村に対して国が補助する仕組みのことをいいます。実施している市町村でも助成金の上限があるため、基数が限定されています。

さ行
三次処理装置

二次処理水を生物学的、化学的、物理学的方法などにより、さらにSS、BOD、COD、T-N、T-P色度などを除去する装置。

色度

水に溶存または、コロイド状で存在する物質の色の程度を、淡黄色から黄褐色の度合いで表す指標。

し尿

トイレから出る排水。

臭気

浄化槽において、臭気の発生源は水に起因していて、主な発生場所は、スクリーン室、流量調整装置、汚泥濃縮槽、汚泥貯留槽などです。また、機能が十分発揮されてないばっ気槽からも発生する場合もあります。

臭突

汚水が腐敗分解するときに生じるメタンガス、アンモニア、硫化水素などの悪臭を排除する装置。臭突の位置や高さは、付近の環境条件を考慮に入れて決めます。臭突の代わりに脱臭装置を用いる場合もあります。

循環比<循環装置>

日平均汚水量に対する、硝化槽から脱窒槽への循環量の比率。循環比は、窒素除去率に大きく影響するため、処理方式に応じた最適な比率を循環装置によって調整します。

硝化<硝化反応>

好気条件下で亜硝酸菌、硝酸菌の作用により、アンモニア性窒素を亜硝酸性窒素、硝酸性窒素に酸化することをいいます。

硝化液循環法

硝化槽の硝化液を脱窒槽へ循環することにより、窒素を除去する窒素除去方法の一つです。

浄化槽

し尿または、し尿と台所、風呂、洗濯、洗面所などの生活雑排水を併せた生活排水を浄化する処理設備。公共下水道以外の水路や河川に放流する場合に設置します。浄化槽には、し尿だけを処理する単独処理浄化槽と、し尿と生活雑排水を併せて処理する合併処理浄化槽があります。所管は厚生労働省。

浄化槽法

浄化槽の製造、設置、保守点検および清掃について規定し、工事業者の登録、清掃業の許可制度や浄化槽設備士、および管理士の資格などを定めた法律。

除去率

処理工程において、汚水中のSS、BOD、COD、T-N、T-Pなどが減少した率をパーセント(百分率)で示したものをいいます。

水質汚濁防止法

環境基本法の理念を踏まえて、工場および事業場の排水を規制し、生活排水対策の実施を推進することによって公共用水域および地下水の汚濁防止を図り、また、被害者の保護を図ることを目的とした法律。

水頭

水圧を水柱の高さで表したもの

スカム

処理施設(浄化槽など)の槽などの水面に浮上した油脂や固形物などの集まったもの。

スクリーン

粗大浮遊物(紙、綿、固形物)を処理工程の最初に取り除く装置。

スクリーンかす

スクリーンで除去されたきょう雑物。

砂ろ過

三次処理法の一つで、砂などを用いた浮遊物除去装置。

生活雑排水

一般家庭などから出るし尿以外の排水のことで、台所・洗濯・洗面所排水を合わせた総称。

生活排水

一般家庭などから出る、し尿と生活雑排水を合わせた排水。

性能評定

浄化槽が、法律で定められた性能を有する構造か否かについて、構造基準と比較し、あるいは個々の製品についての実験、試験などの結果を総合的に検討し、それが十分な効力を持ち、安定した性能を発揮するものであるかどうかを判定することをいいます。

生物学的処理

細菌などの微生物により、汚水中の汚濁物質を生物学的に酸化または還元して安定化させる処理法。

生物膜

好気的な条件下で、処理槽の中に充填した接触材の表面に形成されるゼラチン状の微生物群。汚水がこの表面と接触する間に有機性の浮遊物や溶解物が吸着され、微生物に分解される。

生物ろ過法

微生物を付着させた担体の層に排水を通し、BODの生物学的分解と、SSの物理学的ろ過による除去を同時に行う方法で、従来の二次処理と三次処理を一工程で行える高度処理法の一つです。

接触材

接触ばっ気法で、生物膜を生成、付着させるための支持体。形状は波板状、ハニカム状、ヘチマ様板状など多種多様で、材質としてはポリエチレン、ポリプロピレンなどが用いられています。

全国浄化槽推進市町村協議会<全浄協>

浄化槽の整備により、地域の生活排水対策を進めていこうとする1990年11月に設立された市町村の全国組織。(旧:全国合併処理浄化槽普及促進市町村協議会)

送気量

ばっ気槽、流量調整槽など、空気を必要とする装置に送る単位時間当たりの空気量のこと。

た行
大腸菌

大腸菌は、哺乳類の結腸に寄生する腸内細菌で、健康な人の腸内にもいます。本来は無害ですが、腸以外の臓器に侵入すると下痢や泌尿器の感染症などを起こすことがあります。汚染の有無の指標とされ、水質検査に用いられます。水道水基準では、検出されないことが原則になっています。

脱窒素

窒素を除去することで、生物学的脱窒と物理学的脱窒とに分けることができます。硝化の後、亜硝酸性窒素、硝酸性窒素が嫌気条件下で、脱窒細菌の働きによって窒素ガスへと変化する反応を脱窒反応といいます。

脱リン

リンを除去することで、微生物のリン過剰摂取能力を利用した生物学的方法と金属塩を排水に添加して除去する物理学的方法とがあります。

担体(生物膜ろ材)

微生物を付着させるために用いる粒状または、小片の材料。ろ材の材質としてアンスラサイト、粒状セラミックスなどの無機系物質、ポリエチレン、ポリウレタンなどの有機系物質が使用されています。

単独処理浄化槽

し尿だけを処理する浄化槽。わが国で浄化槽は、単独処理浄化槽として始まりました。750万基以上(2020年データ)とされる浄化槽の総設置基数の約50%が単独処理浄化槽とされています。ただし、処理効果(BOD除去率)が低い上、生活雑排水を処理できないため、生活環境保全の意識の高まりとともに、厚生省(当時)が21世紀初頭に既設を含めて、全て合併処理浄化槽へと転換させる方針を打ち出したため、1999年9月末には、主要メーカーが単独処理浄化槽の製造を廃止するなど、官民の取り組みが進められています。

地下水汚染

工場排水や生活排水による有機塩素化合物、硝酸性窒素により、地下水が汚染されている状態のことをいいます。ドライクリーニング排水や化学肥料や農薬なども汚染物質の一つです。

中水道(排水再利用)

上水ほど上質ではないが、生下水よりはるかに浄化され、トイレ用水、散水、冷却・冷房用水、消火用水、清掃用水などに使用できる排水再利用システムのこと。処理方式は生物処理と膜分離との組み合わせが主流で、使用用途により、水質基準が定められています。

長時間ばっ気方式

標準的な方式よりもばっ気時間が長い活性汚泥法のことで、できるだけ有機物を分解して、処理水を安定化させるとともに、余剰汚泥の生成量を極力抑えることができます。

沈砂槽

汚水中の砂や小さな石を沈降除去させる槽で、汚水処理工程の最初に行われます。この工程なしに次の工程に進むと機械の故障、寿命低下、処理能力の低下が起きる危険性があります。

沈殿槽

流速を緩めて汚水に含まれている浮遊物を沈殿除去させるための槽。

透視度

水の濁りの程度を示す指標。透視度計の底部につけた5号活字を初めて明らかに読み取ることができるときの水の深さ(CM)で表し、水が濁っているほど度数が小さく、水が透き通っているほど、度数が大きくなります。

な行
生汚泥

沈殿槽から引き抜いて、汚泥処理の過程を経ていない汚泥。

生下水

処理場へ流入してくる未処理の下水。

農業集落排水処理

農業振興地域内の集落を対象とした浄化施設。農業用水の水質保全、農業用用排水施設の機能維持、また農村生活環境の改善と公共用水域の保全を目的としたもので、所管は農林水産省です。

濃度

単位容積中に存在する成分の割合。濃度を示す単位には、パーセント、mg/lなどがあります。

ノルマルへキサン抽出物質含有量

汚水中に含まれる比較的揮発しにくい炭化水素、炭化水素誘導体、グリース、油状物質などの含有量。

は行
排水基準

水質汚濁防止法により定められた、全国一律に適用される放流水の水質基準。健康項目に係わる有害物質と環境項目に係わるその他に大別され、それぞれの項目について数値が定められています。

排水再利用(中水道)

“中水道”の項を参照。

はく離汚泥

生物膜法において、生物膜が支持体(接触材、嫌気ろ材など)からはく離した汚泥のことで、自然はく離と強制はく離に大別できます。

ばっ気

微生物群に必要な酸素を供給するための操作。ばっ気は、酸素供給と同時に汚水と微生物が十分に接触するためのかくはんの効果も果たしています。

ばっ気槽

微生物群の存在する汚水浄化のための好気性反応槽。高負荷条件ではBOD除去に係わる微生物が、低負荷条件では、アンモニアの硝化に係わる微生物が発生します。

引き抜き汚泥

浄化槽清掃汚泥のことで、一般廃棄物として、し尿処理施設で処理されます。凝集剤を含まないか、鉄系凝集剤などを用いた汚泥は、コンポスト化施設で肥料化し、濃緑地に還元利用できます。

富栄養化

汚水などの流入により、閉鎖系水域内の栄養塩類の濃度が高まることで、植物性プランクトンが異常発生し、次第に水質汚染が進行していく現象で、赤潮や湖沼のアオコの異常増殖を起こします。富栄養化を防ぐためには、窒素とリンの除去が不可欠です。

物理的処理

汚水中の沈殿性浮遊物を除去することで、沈殿分離、浮上分離、ろ過、かくはん、遠心分離、乾燥などの方法があります。

フローシート

処理工程。汚水処理の場合、各単位工程の機能系統を排水の流れに沿って図解したものをいいます。

フロック

凝集作用によって生成した大きな粒子で、フワフワした浮遊物の集合体のことをいいます。

分離ばっ気方式

ばっ気室の前に沈殿分離室を設けた構造の浄化槽。

分離接触ばっき方式

ばっ気槽の中に接触材を充填している槽の前に沈殿分離槽を設けた構造の浄化槽。

ま行
膜分離法

圧力差を利用して、膜を介して物質を分離する処理方法。分離対象の大きさによって溶液中の固体粒子などを分離する精密ろ過法、コロイドや高分子量のものを分離する限外ろ過法、イオンまで分離する逆浸透膜法に分類されます。

や行
有機性窒素

タンパク質、アミノ酸、尿素などのような有機性窒素化合物中に含まれる窒素。

余剰汚泥

活性汚泥法などの生物学的処理において、一定の微生物濃度に調整する場合、過剰に増加した分の汚泥のことをいいます。

ら行
流動床

スポンジ状担体や粒状の無機担体を槽内で流動させ、担体表面に付着した微生物と供給酸素により、汚水中の有機物を分解除去する反応槽のことをいいます。生物保持量が活性汚泥法より大きく、高負荷運転が可能で、反応槽がコンパクトになります。

流量調整槽

汚水処理施設に流入する汚水を一定量ずつ、後の処理装置に送水する機能が付いた槽。

リン(燐)

リンなどの栄養塩類は、河川や湖沼の富栄養化を促進することから、汚染の指標となっています。リン酸は、主に生活排水、工場排水、肥料などから混入します。旧水道水基準では規制対象外となっていましたが、新基準では監視項目になっています。

アルファベット
BOD…生物化学的酸素要求量(Biochemical Oxygen Demand)

汚水中の有機物が好気性微生物の生物化学的反応によって分解される時に消費される酸素量のことをいいます。普通20℃、5日間で使われた酸素の量で示します。汚水処理では、最も重要な指標の一つです。

COD…化学的酸素要求量(Chemical Oxygen Demand)

水中の酸化されやすい物質(主として有機物)によって消費される酸素量のことをいいます。汚水を過マンガン酸カリウムと混ぜて、100℃で30分置いたときに、過マンガン酸カリウム中の酸素がどれだけ有機物と化合して減ったかを量った値です。

DO…溶存酸素(Dissolved Oxygen)

汚水中に溶解している酸素量のことで、有機物などの汚染物質によって消費されるため、汚染測定の目安になっています。合併処理では1mg/l(単独処理では0.3mg/l以上)の溶存酸素が必要です。

FRP…ガラス繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastics)

浄化槽の外槽の成形で用いられる強化プラスチックは、不飽和ポリエステル樹脂にガラス繊維を主な補強材として、積層形成したものです。

mg/L…(ppm)

水1m3(1t)中に、ある物質が50g含まれていれば、50mg/Lとなります。以前はppmが、濃度の単位として使用されていましたが、1996年4月1日から濃度の単位はmg/Lに変更になりました。

MLSS…ばっ気槽混合液中の活性汚泥浮遊物(Mixed Liquor Suspended Solids)

ばっ気槽内の汚水中に浮遊している活性汚泥のことで、単位はmg/L。

pH…水素イオン濃度

酸性、アルカリ性の強さを示す指標です。pH7が中性、7以下は酸性で、数字が小さくなるほど酸性が強くなります。7以上はアルカリ性で、数字が大きくなるほどアルカリ性が強くなります。浄化槽の放流水は、水質基準でpH5.8~8.6と決められています。

RC…鉄筋コンクリート(Reinforced Concrete)

設計の自由度が高いので、限られた設置スペースやFRP製では対応できない大規模施設の場合に用いられます。

SS…浮遊物(Suspended Solids)

水中に浮かぶ浮遊物の量で、単位はmg/L。

SV…汚泥沈殿率(Sludge Volume)

活性汚泥を一定時間放置し、その汚泥の沈殿量をパーセント(百分率)で表したものです。

T-N…全窒素(Total Nitrogen)

有機性窒素化合物および無機性窒素化合物に含有される窒素の総量。

T-P…全リン(Total Phosphorus)

種々のリン化合物に含有されるリンの総量。…リンの項参照