蒸発や蒸留などで濃縮する技術は古くからありますが、エネルギーを大量に消費するため、環境性と経済性の両面から、積極的に利用されていませんでした。
ダイキアクシスの『省エネルギー型蒸発濃縮装置』は、エネルギー効率を大幅に高めた多重効用蒸発システム(MEES)を採用することで、経済性の面から生物分解できない廃液の減容化や、生物処理などの水処理システムとの組み合わせにより、高濃度の産業廃水・廃液を放流基準にまで処理することも可能になります。
各種工場排水からの水・有価物回収、廃液の減容化など、様々な分野においてご利用いただけます。
例えば、食品工場では製造工程排水とは別に、量は少ないけれども高濃度で生物処理が困難な濃厚廃液が発生するケースが多くあります。これらは一般的に廃棄物処理業者に委託処理を依頼しているケースが多いようですが、処分費が高額になるのが常です。仮に他の排水と混ぜて処理しても、汚泥の処分量を増やすこととなります。
こういった濃厚廃液が出る施設に当社の蒸発濃縮装置を導入すると、外注処分費を1/10~1/20以下に削減することが可能となります。
インキ廃水の処理例
高塩分原皮処理廃水の処理例
お客様の廃水・廃液の性状および処理目的に応じて、最適な処理システムをご提案させていただきます。
組成がはっきり分かっているものに関しては、試験を行わなくても装置設計が可能ですが、組成が不明なものに関しては、最適なシステムを設計するために実際の廃水サンプルを使って試験を行う必要があります。
実際に本システムを試用されたい場合は、テスト機(右写真)をご用意できます。設置スペースと電源が取れれば、現地での試験運用も可能です。
試験テスト、お見積り(提案)をご希望される場合は、試験依頼確認シートにご記入いただき、最寄りの当社営業窓口にご連絡ください。
テスト用小型三重効用蒸発濃縮装置
処理能力 | ~20㎏/h |
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加熱方式 | 電気ヒーター(5kW) |
処理廃液 | ~50cP( 循環ポンプの最高使用粘度) |
電気容量 | 6.82kW(ヒーター含む) |
電源 | AC100、AC200(V) |
運転方式 | PLC自動運転 |
寸法 | W1200×L2560×H1850(㎜) |
重量 | 約750㎏ |
蒸発濃縮装置では、廃液を蒸発させるための熱源として、電気ヒーターやボイラー等の熱源が必要になります。
従来は加熱された廃水の蒸気をそのまま大気中に放出していたため、蒸発に要した熱も蒸気とともに大気中に放出していました。この放出される熱の回収を目的とした蒸発濃縮の一つの方式として、蒸発缶を複数組み合わせる“多重効用蒸発方式”があります。
この方式は、加熱された蒸気の熱が後段の蒸発缶に入る廃水の温度上昇の熱源として回収されます。
蒸発缶が複数になると回収できる熱量が少なくなり、廃水の昇温が得られず、蒸発しにくくなりますが、真空ポンプを組み込むことにより、気圧の低い状態にして蒸発を促進させます。
これは富士山山頂など、標高の高いところは気圧が低く、平地より低い温度で水が沸騰(蒸発)する事と同じ原理です。
真空ポンプで減圧することは、後段に新たにヒーターを設置するよりはるかに効率的で、シンプルかつローコストに蒸気を発生させることが可能になります。
当社の『省エネルギー型蒸発濃縮装置』は、複数の蒸発缶と真空ポンプを組み合わせる画期的な多重効用蒸発濃縮処理により、熱源のエネルギーを可能な限り回収する高効率なシステムです。