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アニマルVOICE!
第1弾「ヌーの大移動から考える」
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動物の声に耳を傾け、地球の環境と未来について考える新連載「アニマルVOICE!」。第1弾は、市内電車のラッピング企画と連動して、ヌーを特集。なぜヌーは大移動するの? ヌーが支えるサバンナの生態系とは? 
愛媛県立とべ動物園とのコラボ企画でお届けします。

愛媛県砥部(とべ)町にある西日本最大級の動物園。園内には、アフリカ、中南米、アジア、オーストラリアなど、世界各国の動物がバランスよく集められています。パノラマ展示による立体感ある風景や、動物の国をめぐって世界一周できるストーリー展示が、冒険心をかきたてます。とべ動物園ではダイキアクシスの排水システムが採用されています。

 
 

ヌ—の大移動が無くなる!?

 
 

松山市内にヌーの大群、現る!

2026年春、愛媛県松山市に突如現れた「ヌーの大群」。市内を走る路面電車のラッピング車両です。大自然で生きるさまざまな動物たちの生態を通じて、環境や未来について考えるきっかけにしてほしいとの思いで企画しました。

 

 

 

ヌーといえば、世界最大の陸上移動といわれる「ヌーの大移動」が有名。数万から数十万頭もの群れが集団で移動するさまは、アフリカの大自然の壮大なスケールを感じさせてくれます。ところが、近年この大移動が人間の活動によって阻まれ、ヌーの生息にも大きな影響を及ぼしています。
「アフリカに限らずですが、今、問題になっているのが人口の増加です。人が増えて、自分たちが住みやすくなるようにどんどん土地を広げていくことで、ヌーの移動ルートが分断されてしまうのです」と教えてくれるのは、とべ動物園の宮越聡(さとし)さん。
「移動ができずに隔離されてしまうと、遺伝的多様性が失われ、植物にも影響が出てきます。それがまた生息数の減少にもつながっていきます」。ヌーの生息地だけではなく、植物にも影響が? どうしてでしょう。
今回は、ヌーの生態系やそれを取り巻く環境の変化を通じて、私たちにできることを考えます。

 

 
  
宮越 聡さん

愛媛県立とべ動物園 教育普及課 教育係
サファリパークで働く人に憧れて飼育員に。シマウマ、キリン、エランド、ハイエナなどを担当し、サバンナの生き物に詳しい。20代の頃、ヒョウの人工哺育を行った経験が、現地ケニアの仔ヒョウの命を救うことに繋がる。その後、成長したヒョウに会うことを目的として、とべ動物園の仲間と12日間のサファリツアーに参加。ヌーの大移動やライオンの狩りを間近に観察するという貴重な経験を得る。



 
  
 
アクシスさん

ダイキアクシス広報担当(インタビューする人)
小さい頃から動物が大好き。ラッピング企画をきっかけに、動物たちから見た「地球」「環境」「水」の課題に関心を深めている。

 
 

ヌーってどんな動物?

 

シカっぽいウシ寄りのウシ。

ヌーはひと言でいうと、ウシ科の動物です。ウシというと一般の人はホルスタインのような牛をイメージすると思いますが、どちらかというとレイヨウという、シカっぽい見た目をした動物の仲間です。

※写真提供 宮越 聡

 

当園では、エランドやシロオリックスなどがその仲間です。見た感じ、なかなかウシっぽくない見た目をしています(笑)。ヌーはその中でも、ウシとレイヨウを掛け合わせたような姿で、オスにもメスにも立派なツノがあります。

 

なぜ大移動するの?

ヌーが生息するアフリカ大陸南部のサバンナには雨季と乾季があります。ウシ科のヌーは草食性。食料となる草は雨が降るところに生えるので、草と水を求めて移動しています。
その移動距離は、陸上哺乳類では地球上最大規模といわれるほど。タンザニアのセレンゲティ高原から、ケニアのマサイマラ国立保護区まで、半年近くかけて周回します。

※写真提供 宮越 聡

 

走る、走る!必死の形相のわけ。

広大な平原を大群で移動するさまはそれだけでも大迫力ですが、「食べる・食べられる」でいうと、草食動物のヌーは食べられる側。ライオンなどの肉食動物のいる場所では、捕まらないように集団で一気に駆け抜けます。
私も現地で見ましたが、猛スピードで走るヌーの群れの中にライオンが入っていって狩りをするさまは、大迫力のシーンでした。

※写真提供 宮越 聡

 

ラッピング電車に描かれているのは、その姿ですね。「頑張れ、ヌー!」と電車に向かって応援したくなります。
 
 

ヌーの大移動がもたらすもの

 

ヌーが草原を維持?

ヌーは草を食べて糞をすることで、植物が育つ土を肥やす役割を果たしています。また、もしもヌーが草を食べなかったら、逆にその草が生えすぎてしまって森林化が進んでしまうかもしれません。
森林化と聞くと、一見、CO2の吸収や緑化などプラスのように思えますが、樹木が草地を覆うことで、本来そこにある植物が育たなくなり、草食動物の居場所が失われてしまいます。
サバンナにはヌーの他にもたくさんの草食動物がいます。例えばヌーと行動を共にしているシマウマは、同じ草を食べるにしても、ヌーとは食べる草の高さが違ったりして、お互いに共存しながらサバンナの草原を維持しています。

※写真提供 宮越 聡

ヌーが川の栄養分に?

最も有名な「マラ川の川渡り」では、ヌーは北の草原を目指して川を渡ります。マラ川は流れも速く、川の中には巨大なナイルワニが潜んでいます。渡るのはまさに命がけ。当然、うまく渡れなかったヌーはその場で死んでしまって、ワニのえさになります。
食べられてしまうのは可哀想ですが、これもサバンナの生態系の維持には必要なことです。例えば当園のサバンナコーナーにいるアフリカハゲコウも、動物の死骸(しがい)のお掃除をしてくれる鳥です。いつもじっとしていて、地味であまり目立たない鳥ですが、サバンナの環境の中では大切な役割を担っています。

お掃除……川辺に棲(す)む生き物にとっては、それも生きるために必要な栄養分なんですね。ちなみに死骸の骨から出るリンは、川の栄養源にもなります!

※写真提供 宮越 聡

 
 

ヌーの大移動をはばむもの

 

土地改変、気候変動、それってみんな……

そうしたサバンナの生態系に影響を及ぼしているのが、人間の活動です。冒頭でも述べたように、本来動物が生息する場所を人が奪ってしまうことで、野生動物の生息地の減少が問題になっています。
密猟の被害も深刻です。特徴的なツノや牙を持つ動物は、トロフィーハンティングの標的になります。またアフリカは各地で内戦が起こっているため、捕まって戦地で食料にされてしまうケースもあります。
もちろん気候変動の影響も甚大です。地球温暖化は単に気温が上がるだけではなく、地球の生態系をも変えてしまいます。遠く離れたアフリカの問題と思うのではなく、「その問題はなぜ起こっているのか」「自分たちに責任はないのか」と立ち止まって考えてみることも大切です。

ラッピング電車の「ヌーの大移動」を見たら、ぜひ環境問題や地球の未来について考えるきっかけにしてもらいたいです。電車だけでなく、他にもどんどん企画していきますね!

 
 

本日のまとめ

 

サバンナを生きるヌーってすごい!

いかがでしたか。ヌーの大移動から、ヌーを取り巻くサバンナの生態系、そしてその自然環境に人の活動が及ぼす影響まで、駆け足で探ってみました。
案内してくれたとべ動物園の宮越さん、ありがとうございました。また他の動物のお話もぜひ聞かせてください!

とべ動物園にはサバンナの動物たちがたくさんいます。ぜひ遊びに来てください。