2025年3月、新たに2027年度を最終年度とする中期経営計画を公表しました。まず、ベースとなる経営戦略は以下のとおりです。そこで、今回の中期経営計画のメインテーマを「日本の安全安心を、世界の日常に」としました。日本での試行錯誤によって培われた公衆衛生技術を世界の国々に技術移転し、安全で安心な世界の実現に寄与することこそが、我々の社会的使命です。それはビジネスとして言い換えると、海外における水衛生インフラの整備を今後の成長エンジンと捉えていくということに他なりません。成長の主軸は海外であり、水に関する商材の拡充を図ってまいります。見込まれています。今後は浄化槽のみならず、水ビジネス全般を世界に展開する「グローバルな水ビジネスプレーヤー」を目指していきます。経営モデルこれまで当社は、国内と海外の環境機器関連事業と住宅機器関連事業、再生エネルギー関連事業の4事業が並列で、各々独自の戦略を持ち、独立して運営されるという「ポートフォリオ型」の経営モデルを採用してきました。今後は各事業が連携して海外事業を拡大するという意味で、「シナジー型」の経営モデルに移行していくことになります。現在、海外事業においては、環境機器関連事業で培った「日本の公衆衛生技術」を途上国にて展開しています。今後、各国の公衆衛生環境が整い、人々の安全安心が実現されると、次は「日本の快適性」が求められます。したがって、次の段階では住宅機器関連事業の商材やソリューションを海外に展開し、将来的には再生可能エネルギー関連事業や、新規事業を展開していくことも考えられます。調達・製造コストの削減、海外拠点との連携、人材確保や育成など、グローバル全体で事業の横串を通すことによるシナジーは少なくありません。従来のような国内と海外といった区分けではなく、まずはグローバル戦略があり、その一部として日本市場での戦略があるという考え方のもと、各事業が連携してシナジーを創出するための組織構造や管理体制に移行していきます。グローバル化への梃子自国に有力事業があり、その商材を機会があれば海外にも販売していくといった今までの「インターナショナル企業」から、ヒト・モノ・カネをグローバルで一元化することで、シナジーを創出する「本格的なグローバル企業」へのシフトを目指していますが、何事も一歩ずつと考えます。まずは現在の海外拠点やネットワークに磨きをかけ、各事業戦略に基づき主軸事業の抜本的強化を図ってまいります。経営戦略を支える主力事業の基本戦略は以下のとおりです。環境機器関連|日本市場環境機器関連事業の日本市場においては、メンテナンスの増加に注力し、ストックビジネスを拡大させていく方針です。保守点検・修繕工事などのメンテナンスは、一度契約を結ぶことができれば、長期的にお客様との関係が構築され、安定したビジネスが展開できます。先々まで売上が読める、収益性が高いといったメリットに加え、顧客資産が次の受注につながり営業効率も向上します。日本国内の事業は収益のみならず、グローバル向け商材のR&D機能も果たしています。今後は、メンテナンス業務の標準化により生産性も向上させ、収益性のさらなる向上を狙っていきます。環境機器関連|グローバル環境機器関連事業のグローバル展開については、インドにおいて一定の成功を収めつつあります。現地政府との連携により、水質基準や製品基準等のルール作りから始めることで、「JOHKASOU(浄化槽)」という新たな市場を創り上げてきました。当社は日本市場においても以前から、政府・自治体とのルール作りから取り組むことを強みとしており、インドへの展開でもそれが強みとなったかたちです。また、現地を広くカバーする代理店との友好関係を構築できたことも成功要因の一つだと捉えています。このようなアプローチを「インドモデル」として磨き上げ、他国展開に活用していく方針です。世界の水衛生問題当社グループは1958年の創業以来、水衛生インフラの整備を主力事業の一つとしてきました。今の日本は世界でも稀に見る水衛生大国といわれますが、世界では未だ4人に1人が劣悪な衛生環境で暮らし、産業排水の未処理による公害病や下水処理の不備による環境汚染に苦しんでいます。さらに急速な経済成長、爆発的な人口増加がこの問題に拍車をかけています。こうした途上国の現状は、50〜60年前の日本と同じ状況といえます。日本は水衛生インフラを整備しながら、経済発展を遂げてきました。そこで培われた衛生技術は、そのまま途上国でのソリューションとなり得ます。ここに当社の存在意義があると考えます。我々の社会的使命目指す姿グローバル市場への本格的な進出にあたり、基軸となるのはやはり浄化槽の技術です。これを途上国の発展段階に合わせて展開していきます。まずは、現在進出しているアジア、インドを足がかりに、中東やアフリカでの事業展開を目指していきたいと考えています。世界の水ビジネス市場は、上水・下水・産業排水・海水淡水化など、水ビジネス全般で捉えると、2030年には100兆円を超える市場がてこCEOメッセージ05日本の安全安心を、世界の日常に主軸事業を抜本的に強化する中期経営計画(2025-2027)|経営戦略中期経営計画(2025-2027)|事業戦略
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