DAIKI AXIS INTEGRATED REPORT2024
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社外取締役対談−ダイキアクシスグループについてどう評価されていますか?財務やガバナンスの視点から率直なご意見をお聞かせください−課題に思われることがあればお聞かせくださいDAIKI AXIS INTEGRATED REPORT | 34監査上のガバナンスとは、いわゆる内部統制です。「この会社は管理がしっかりしているよね」という目線で適正性を見ていました。ただ、途中から、あくまでも企業は成長して価値を大きくしていかなくてはならないことを考えると、それだけではないのだろうということも認識し始めていました。あらためて社外取締役の立場でコーポレート・ガバナンスを考える時、企業価値を最大化していくこと、そのために管理や統制がバックには必要なのだということ、その視点で物事を考えていかなくてはならないと思っています。宇佐美 私は銀行で20年間ほどマーケット部門を担当していましたが、ちょうど海外勤務していた際、アメリカでエンロン事件というマーケットを揺るがす不正事件が起こりました。その時、組織での不正や不祥事を防ぐ仕組み̶コーポレート・ガバナンスの重要性を痛感しました。ただ、米国型のコーポレート・ガバナンスは、株主の利益を守るために企業運営を監視するシステムです。そこに個人的には疑問を持っていました。 近年は株主だけではなく、お客様や従業員を含めた全てのステークホルダーの権利・立場を尊重する考え方が強まっています。そのため、内部統制やリスク管理のルールを順守するためには、経営だけではなく従業員の皆さんやステークホルダーの方々の意識が大事だと思っています。実行してそれを守る意識、コンプライアンスがなければ会社のガバナンス強化は図れないと認識しています。目細 就任したばかりですので、まだ深いところでは理解が及ばないことを前提としてのお話になりますが、ガバナンスという点では、基本的な枠組みは設定されていると思います。指名・報酬委員会やリスク管理委員会など任意での設定も完了し、しっかりと枠組みはつくられています。その他、内部統制を含めて、常にどう改善していくのかを考えながら動いていますので、その取り組む姿勢は大変素晴らしいと思っています。宇佐美 当社グループは“PROTECT×CHANGE”というスローガンがぴったりな会社だと思います。再生可能エネルギーや海外事業、ベンチャー企業への投資など、新しいことにチャレンジすることで、成長に欠かせない次の一手を打たれているのだと理解しています。その中で、財務的にはかなり投資を先行させています。これらの先行投資をこれから回収していくステージになっていくのだろうと見ています。ガバナンスについては、取締役会は社外と社内の取締役が半々で、第三者の視点や外部の知見を積極的に取り入れようとする姿勢が非常に高いと思っています。そんな中で、自分も今までの経験や知見をフィードバックできればと考えています。目細 たとえば利益の確保、そして最終的には株価、そこに先ほどの枠組みをどう使っていくのか、戦略的にどう結び付けていくのかが課題だと思います。これはおそらくどの会社でも一番悩まれているところでしょう。企業価値をいかに最大化していくかといったところをより強く意識して臨まなくてはなりませんし、私自身もそれを意識しつつ、助言や提言をしていきたいと思っています。宇佐美 新しいことにチャレンジするにはリスクも伴います。大手監査法人を経て2024年1月目細公認会計事務所開設。監査法人パートナーとしてコーポレート・ガバナンスに対する優れた見識を有する。2024年3月当社社外取締役就任。公認会計士としての専門的な知識と経験を活かし、財務戦略を総合的に判断し、当社グループの企業価値向上に資する助言や提言を行う。海外は成長の伸びしろが大きく、さらなる事業拡大が期待できますが、一方で、為替リスクや外貨の流動性のリスク、オペレーション、人材も含めて、大きくすればするほどリスクも増えてくるものだと思います。そこには組織づくりも含めて、さらに力を入れていく必要があると感じています。−最後に、今後の抱負と当社グループへの期待をお聞かせください目細 私自身は公認会計士、監査法人での経験も活かしながら、当社の企業価値をどう高めていくかということに対して、社外取締役としての責務を果たしていきたいと思っています。先ほど宇佐美さんもおっしゃっていましたが、企業価値を最大化していくためには、会社の動きを株主や従業員などさまざまなステークホルダーが真に理解できることが非常に大事だと思います。 昨今、サステイナビリティ、人的資本経営、温暖化への対応などが企業に求められています。当社グループはそのど真ん中にいる会社であり、社会の期待度と当社グループのビジネスをうまくかけ合わせて、社会の要請に応じながら企業価値を高めていくことができる会社だと思っています。そこにチャレンジしていくことは、まさに“PROTECT×CHANGE”ですので、社会的使命を果たしつつ、新しい価値を創造し、世の中に貢献していただきたいと思います。宇佐美 一義的には監査等委員としてしっかりと守りに貢献しなければと思っています。ただ、自分自身はこれまでどちらかというと海外や為替・金利などの市場マーケット取引、ベンチャー投資など攻めのところに携わってきましたので、その経験も活かしながら意見や助言ができればと思っています。 当社グループへの期待としては、中長期的な成長を目指してどんどん新しいことにチャレンジされているので、今後、投資を回収し、企業価値をさらに高めていってもらうことに大変期待しています。大手銀行での海外勤務を経て、ベンチャーキャピタルでのベンチャー企業投資も担当する。2024年3月当社社外取締役(監査等委員)に就任。海外市場からベンチャー投資まで幅広い知見を有し、企業財務、コーポレート・ガバナンスに対する優れた見識を活かし、当社グループの経営に対する助言や提言を行う。グループを支える基盤−就任後、初めて参加された取締役会の印象をお聞かせください−コーポレート・ガバナンスについてどのようにお考えですか?ご経歴も踏まえて基本的な考え方をお聞かせください監査人として守りを見ながら、攻めの必要性を感じていました。現役時代にずっと攻めてきた宇佐美さんが監査等委員として守りを見ることになり、なかなか面白いですね。“PROTECT×CHANGE”は本当にいい精神ですね。チャレンジするためには守りと攻めの両方が必要だと思います。自身の経験がそこに少しでも役に立てばと考えています。社外取締役目細 実社外取締役(監査等委員)宇佐美 孝INTERVIEWPROFILEPROFILE中長期的な企業価値の向上を目指して持続可能な企業経営に取り組む当社グループについて、2024年3月に就任した2名の社外取締役に財務・ガバナンスの視点から語っていただきました。目細 事前に「(社外取締役でも)しゃべれるんですか?」と聞いたところ「何でもき忌 たん憚なく発言してください」と言われました。出席してみると非常に話しやすい雰囲気でした。議長が上手にリードしてくれたおかげで、最初はしゃべりすぎたかなと思うぐらいたくさんお話ししたように思います。話が出ないことには次に何をどうすべきか考えられないですから、まずはいろいろな意見が出ることが大事だと思います。宇佐美 私も取締役会というと堅いイメージがあったのですが、いい意味で自由な雰囲気もあり、社外取締役からの質問も活発に出されていました。形式的ではなく本質的な議論がなされていた印象です。私自身はまだあまり発言できていませんが、早く当社グループのことを把握した上で積極的に意見を述べていきたいと思います。心理的安全性が保たれているというのでしょうか。社外取締役は配慮やしんしゃく斟酌をしがちだと思うのですが、当社グループの場合はそういったことをあまり考える必要がなく、率直に話しやすい印象でした。目細 これまでは監査法人に勤務する会計士としてコーポレート・ガバナンスに向き合ってきました。社外取締役対談 〜コーポレート・ガバナンスにも求められる守りと攻めの視点〜目細 実社外取締役宇佐美 孝社外取締役(監査等委員)

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