DAIKI AXIS INTEGRATED REPORT | 31CO2排出削減への取り組みの一環として、芙蓉総合リース㈱と連携し、東武鉄道㈱のグループ会社である東武バス日光㈱が環境省の脱炭素先行地域に選定されている奥日光エリアを含む日光地域で実証運行するバイオ燃料バスに、バイオディーゼル燃料(D・OiL)を供給しています。基本協定のもと、栃木県内の東武グループ各施設で生じる使用済み食用油を原料にバイオディーゼル燃料を精製し、日光地域の路線バス等で使用する計画で、これにより地産地消のエネルギーサイクル構築を目指し、この取り組みにより年間70トン以上のCO2排出削減を見込んでいます。 FIT制度(固定価格買取制度)を活用した売電事業に加えて、2023年に実施したM&Aにより太陽光発電のEPC(提案・調達・施工)事業を担える体制を整え、施設販売とPPAモデル*による電力供給を開始しています。カーボンニュートラルの実現に向けて大口電力需要家からの需要は高まっていますが、競争も激化しています。今後もFIT制度終了に向けた新たな事業モデルの構築に取り組んでいきます。*PPA事業者が電力需要家の保有する敷地等に太陽光発電設備を設置し、生成される電力を売電することにより再生可能エネルギーの普及を促進するモデルゼファー㈱、ジヤトコ㈱、リコージャパン㈱と共に、コストパフォーマンスおよび静穏性、社会受容性に優れた定格出力50kWの低圧風力発電機の開発を進めています。当社は浄化槽製造で培ったFRP成形技術を活かし、ブレードの設計補助および生産を担当しています。風力発電機の設計は複雑で、緻密なシミュレーションやフィールドテストが必要となりますが、風車設計、制御アルゴリズムの構築、AIを活用したメンテナンスの支援ツールの構築等各社の得意分野を活かして2025年中ローンチ予定で開発を進めています。商用化されれば初の100%国産の小形風力発電機であり、耐久性、安全性、静音性に優れ、地域の電力需要に貢献できます。今後、ますます再生可能エネルギーの導入が求められる中、太陽光発電と並ぶ電源として普及させることを目指してまいります。水熱処理は、亜臨界水反応を用いた有機物処理技術です。水と圧力で有機物を効率的に分解し、液状化・粉末化できます。例えばごみ処理の場合、燃焼を伴わないため有害物質を出さずに処理を行うことができ、燃焼する場合も前処理として水熱処理を行うことでボイラーの耐久性が高まります。さまざまな分野での技術転用が考えられ、現在研究開発を進めています。将来的に環境負荷の低減に寄与する新技術として期待しています。バイオディーゼル燃料事業では使用済み食用油をリサイクルし、バイオエネルギーをつくる循環型エコエネルギー活用プロジェクトとして「油〜モアプロジェクト」を推進しています。バイオディーゼル燃料車両による普及宣伝活動や、ホームセンター・学校・地域イベント等で、使用済み食用油の回収方法や回収場所等を広く知ってもらうための活動を行っています。また愛媛県内の学校へ出向き、出前授業を行う「バイオマス教室」も実施しています。今後は関東地方でも活動を広めてまいります。KPI自社太陽光発電事業による発電設備容量、小形風力発電総発電量、D・OiL販売量現代社会は化石燃料をエネルギーの主要な供給源として長い間利用してきましたが、化石燃料は大量の二酸化炭素を排出し、地球温暖化の主要な原因となっています。温暖化が進行すると、異常気象の頻発や海面上昇、農業生産の減少等、さまざまな環境問題が引き起こされます。さらに化石燃料は有限な資源であり、枯渇のリスクもあります。これに対し、太陽光、風力、バイオマス等の再生可能エネルギーは自然界に存在し、持続可能なかたちで供給され、さらにエネルギーの生成過程でCO2の排出がほとんどないため、地球温暖化の防止に大きく寄与します。当社グループは複数の再生可能エネルギーを提供することにより地球環境課題の解決とサステイナブルな街づくり、住環境へ貢献します。具体的なアクション当社グループでは、一般家庭や飲食店から出る使用済み食用油を回収し、バイオディーゼル燃料を精製、自社ブランド「D・OiL〈ディー・オイル〉」を販売しています。従来は四国エリアを中心に展開してきましたが、2024年4月■城県稲敷市に東日本事業所を開設し、東日本エリアでも供給を開始しました。事務所棟は廃油回収や廃油のアップサイクル事業のイメージ(汚い、臭い、過酷等)を根本的に変え、誰もが働きたいと思える職場環境を作るために思い切ったデザインにしました。また、敷地内に非常用貯水槽を設置しており、地震等の災害時に使用できる飲料水を確保し、地域のライフライン確保にも貢献しております。2024年10月設置完了を目標に第二期工事を行い、D・OiLを使用したボイラと太陽光を利用した、国内初の100%―CO2フリーを実現したバイオディーゼル燃料プラントを設置します。自社太陽光発電事業による発電設備容量50MW240MWh/年2025年目標2022年小形風力発電総発電量580MWh/年466MWh/年2023年2025年目標231,500L/年(1,430,000L/年)169,220L/年(1,473,781L/年)2022年D・OiL販売量(B5軽油販売量)394,000L/年(4,360,000L/年)2023年2025年目標マテリアリティ28MW34MW2022年2023年マテリアリティ0303成長戦略バイオディーゼル燃料事業の関東エリアでの事業展開空港内作業車両へのバイオディーゼル燃料の提供2023年4月に愛媛県松山空港内で稼働している空港内作業車両の燃料としてバイオディーゼル燃料「D・OiL」の提供を開始しました。2024年には高知龍馬空港や徳島阿波おどり空港、高松空港にも提供を開始し、四国の全空港に供給を行っております。東日本事業所の開設に伴い、今後関東エリアでも展開してまいります。日光バス実証実験Non-FIT事業の展開低圧風力発電機に関する技術開発・実証実験水熱処理技術油〜モアプロジェクトサステイナブルな街づくり・住環境への貢献ステークホルダーにリスペクトを
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