DAIKI AXIS INTEGRATED REPORT2024
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DAIKI AXIS INTEGRATED REPORT | 272023年2025年目標東南アジア・南アジアでは経済成長とともに都市部を中心に環境汚染が深刻化しています。当社グループでは日本の高品質な「JOHKASOU(浄化槽)」を普及させることで世界の美しい水環境を創造します。人口の多いインドでは、規模も大きく、付加価値も高い大型浄化槽、中型浄化槽の出荷を目標とし、スリランカでは自社組立工場で製造する家庭向けの小型浄化槽の普及を促進し、浄化槽の認知度向上を目指します。インドネシアでは従来、国外輸出向けの製品が多く、国内の販売先も日系企業が多くを占めていましたが、今後はローカル企業にアプローチすることで、インドネシア内でのブランディングを進め工場の稼働率を向上させてまいります。160台35台2023年2025年目標なお、2024年7月に発生したデモの影響によってインターネット回線の遮断や外出禁止令の発令などがあり、一時的に操業が難しい状況でした。暫定政権樹立以降は落ち着きを取り戻し、世界各国からの援助も広がり復旧を目指している状況です。また、現地法人から暫定政権への働きかけをすでに始めています。そのような中、デモによって荒れてしまった街の清掃活動を現地法人の従業員が自発的に取り組み始めました。「街の環境を守り、人々の暮らしをより良いものに変える」当社グループの企業精神である“PROTECT×CHANGE”を胸に事業活動による水環境の保全だけでなく、企業活動を通じた社会への貢献も果たしてまいります。KPITOPICSインド浄化槽出荷台数(大型浄化槽・中型浄化槽)1,260台57台2022年2025年目標スリランカ浄化槽出荷台数(小型浄化槽)1,000台135台2023年2025年目標2022年47台2022年22億インドネシア浄化槽出荷台数(大型浄化槽・中型浄化槽)海外売上高40億15億マテリアリティ225台229台2022年2023年具体的なアクションインドにおける生産体制の確立が難航した理由として、海外における当社グループの工場立ち上げのノウハウが少なかったことがあげられます。そのため現地大手企業で工場管理経験がある人材を工場長および技術スタッフとして雇用するなど、製造ラインの改善を進めています。今後、新たな生産拠点を建設する際は、現地で育成したスタッフが中心となって工場を立ち上げることを将来的なビジョンとしています。海外における設計・施工管理能力強化を目的として、2024年1月に海外技術部を新設しました。今後、設計・施工管理・メンテナンスをナショナルスタッフだけで実施できるよう技術力の底上げを図ります。発展途上国では環境問題に対する法規制の整備不足から、放流水質基準まで処理できない他メーカーの製品が価格が安いという理由で多く採用されているのが現状です。日本では1971年に「水質汚濁防止法」により工場排水が規制され、1983年には「浄化槽法」により生活排水の規制が設けられ、浄化槽の構造基準やメンテナンス基準が明確に法令で定められました。適切な法律があることで製品の性能が担保され、適切に水を浄化することができる製品の普及につながります。当社グループではこのような日本における法整備の背景を踏まえ、各国の行政に向けて環境規制の重要性・必要性を発信しています。インドネシアにおいてはまだ浄化槽自体の認知度が低いため、戦略としてSNSを利用した企業ブランディングを行っています。またISO 9001、14001、45001を取得し、企業価値を高めるとともに国営企業への営業や、浄化槽販売だけでなくメンテナンスや産業排水処理など幅広い手法でアプローチをし、実績づくりに取り組んでいます。KPIバングラデシュに子会社設立2019年から現地パートナーとの協働により政府や民間大手に営業活動を行ってきたバングラデシュにおいて、2024年1月に子会社を設立しました。設立記念式典では政府関係者にも参加いただき、水インフラの重要性についてアピールいただくなど、好調なスタートを切っています。バングラデシュの都市部では大規模下水道の整備が行われていますが、キャパシティが足りていない状況で、浄化槽を含むオンサイトの処理は今後も需要が続くと予想されます。今後はスリランカと同様に組立工場による事業展開も予定しています。インド国有鉄道「駅リニューアルプロジェクト」インド国有鉄道駅舎における排水処理は、現在、主にし尿を固液分離するセプティックタンクと地下浸透のみで行われており、浄化槽と比較すると十分な浄化能力がなく、土壌汚染や悪臭が大きな問題となっています。今回、試験的にデリー周辺10駅への浄化槽の設置と、10年間のメンテナンス契約を提案し受注しました。今後半年から1年の試験を行い、7,000を超えるインド国鉄全駅への浄化槽設置を進めてまいります。インド国有企業への浄化槽納入インド国有企業である Indian Oil Corporation Limited(以下、「IOCL」)が運営するガソリンスタンドも同様の課題があったため、浄化槽への切り替えを提案し、16か所への納入とメンテナンス契約を受注しました。既に受注分の納品は完了し、安定的な稼働と良好な処理水質を実感いただいております。今後、現場視察を含めた提案を行い、35,000以上あるIOCLのガソリンスタンド全店への設置を目指してまいります。ガンジス川浄化計画2022年3月に受注したガンジス川浄化計画の支流浄化第一弾プロジェクトについて、インド政府の土地収用の遅れ等により、当初想定から1年半以上遅れが発生しましたが、3工区のうち第1工区への納品が完了しました。第二弾プロジェクト(2工区)、第三弾プロジェクト(仮設オフィスへの浄化槽設置)と継続的に発注いただいている状況であり、引き続き当該計画における浄化槽納入の受注に向けて取り組んでまいります。[ ガンジス川浄化計画とは ]ガンジス川の流域には6億人以上の人が生活していると言われています。しかし急速な人口増加と都市化により下水処理が間に合わず、未処理の汚水がそのまま水源に放流されており、健康被害を引き起こしています。このようなインド全域の水問題解決の第一歩として、2015年にインド政府より「ガンジス川浄化計画」が国家プロジェクトとして発表されました。当計画は4兆円の予算が付けられており、ガンジス川流域の9つの州が計画し、中央政府より予算が割り振られています。0303成長戦略海外売上高浄化槽出荷台数インド工場における生産性強化海外技術部の新設法整備のサポートインドネシアにおけるブランディング世界の美しい水環境を創る

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