DAIKI AXIS INTEGRATED REPORT
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MATERIALITY0230①気候変動への適応および緩和に向けた取り組み③世界の美しい水環境を創るDAIKI AXIS INTEGRATED REPORT | 48551326182176バングラデシュ(ダッカ)/2019年当社グループが展開している国々、特にインドネシアとインドに関して下水道普及率を見ると、インドネシアに関してはわずか1%です。また、インドの人口は約14億人と中国を越えて世界人口No.1になる国と言われていますが、人口が多いにもかかわらず下水道普及率は20%弱です。大規模な排水処理インフラ設備の導入には、開発・設計から施工まで高度な技術が求められる上に、多額の費用と長い時間、そしてこれらを実行できる人材が必要ですが、対応が追い付いていないというのが現状です。現地の川や海は私たち日本人から見ると非常に汚いという印象を受けます。しかし、現地で生活する人々からすると、その汚さは日常の一部となっており、「美しい水環境」に触れるきっかけもない状況です。そして同時にこういった国々では急速な工業化と都市化が進行しており、生活排水だけでなく工業排水による新たな水質汚濁問題にも直面しています。これはまさに高度経済成長期を経て日本が経験した公害と同様の状況で、同じ轍を踏まないよう日本での知見を活かして大きく貢献できる分野だと考えております。各国の水環境では、こういった国々に「浄化槽」という装置は無いのでしょうか?実は各国、「浄化槽に似たもの」を製造・販売するメーカーは多数あります。「似たもの」と呼んだのは、これらには浄化槽が果たすべき役割(排水を河川への害がない水準まで浄化する機能を持ち、中長期にわたり同様の機能を維持すること)が備わっていないことが多々あるためです。それらが浄化槽としてまかり通っている根本原因は、行政が明確な基準を設けていないからです。日本では、1971年には「水質汚濁防止法」により工場排水が規制され、1983年には「浄化槽法」が整備、浄化槽の設計基準やメンテナンス基準が明確に法令で定められることとなりました。当社グループは、日本の法整備の背景等を踏まえ、インド・インドネシア等の各国の行政に向けて環境規制の重要性・必要性を発信しています。浄化槽の優位性また、国際協力機構(JICA)の資金や円借款のプロジェクトがありますが、インフラ投資に関してはかなり大規模な施設になり、時間がかかります。そのような中、当社グループの浄化槽製品は小型であり、オンサイトで簡単に施工でき、その場で排水を処理できる分散型排水処理装置であることが強みであります。大型のインフラ設備と比較して、かなり短期間で水処理のインフラを整えることができます。日本で培った水処理の技術やノウハウを海外でも存分に生かし、各国の経済成長と生活インフラ拡充、ひいては現地の水環境の改善を後押ししてまいります。ケニア(ナイロビ)/2020年パキスタン(カラチ)/2020年出典:東京環境局東京(多摩川)/1973年※Global Water Market 2017 よりインド(ハリヤナ州)/2022年東京(多摩川)/現在いずれも生活排水・汚物が直接河川に流入しており、人々の生活水として循環させるには難しい状況。日本においても法整備前は生活排水・汚物が直接河川に流入していましたが、環境規制強化により美しい環境に改善されました。下水道普及率と人口 [アジア地域下水道普及率]日本マレーシアタイスリランカインドネシアフィリピンベトナムインドバングラディシュパキスタン人口(百万人)100200300204060下水道普及率(%)(百万人)1,4001,30080100(%)80COLUMN海外の上下水道整備状況と法整備の必要性

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